【失敗しない!中国ものづくり|第18回】確実な回答をもらう見積依頼の方...

2020/6/10 ロジ

【失敗しない!中国ものづくり|第18回】確実な回答をもらう見積依頼の方法

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中国の部品メーカーに見積依頼をすると、その見積の回答に対して次のような不信感を持つことがよくあります。価格が異常に高すぎて、やる気があるのかよく分からない、または例えば10部品の見積もりをお願いしたのに回答が全部こなく、ちゃんとメールを見てくれているのかよく分からない、といったものです。多くの方がこのような経験をされたことはあると思いますが、このようなことになってしまう原因は実は私たちにもあります。今回のコラムではこの原因と、これを回避し確実な回答をもらう見積依頼の方法に関してお伝えします。

 

★見積依頼では本気度を示す必要がある

これから見積依頼する部品メーカーが初めての取引であった場合、私たち日本企業はその部品メーカーのコストの実力を知りたいという意図から「とりあえず」の見積依頼をする場合があります。特に中国への進出を検討していて、進出するか否かの判断材料として現在の中国の部品メーカーのコストの実力を知りたい場合に、この「とりあえず」の見積依頼が多くあるように思います。そのようなときに見積依頼する日本企業から提示される見積条件は「生産台数は100個、500個、1000個/月の3通り」のような漠然としたものです。(図1)

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図1 漠然とした見積依頼では本気の見積回答はこない

 

日本の部品メーカーでしたらこのような漠然とした見積依頼がきたとしても、これからお付き合いに発展していくことを見越して、誠意ある見積回答を提出すると思います。しかし中国の部品メーカーではそのようにはいきません。中国の部品メーカーは「この見積依頼はお金を儲けることができるものか、できないか」と非常にシンプルな視点で見積依頼を見ています。

私は中国駐在を終え日本に帰国してからも、日本の企業から依頼されて中国の新規の部品メーカーへ見積依頼をすることが多くあります。私が日本の企業から受け取った見積依頼の条件をそのまま伝えてしまうと、「いつから量産開始?」「正式図面はいつ出る?」「日本に輸出ですか?貿易条件(FOBなどのこと)は?」といったように、すぐ具体的な話が始まります。私に見積依頼してきた日本の企業は、これらの質問事項に対してまだそこまでは考えていない場合がほとんどですので、その回答が遅くなってしまいます。そうなると中国の部品メーカーは、「とりあえず」の見積依頼と理解するのであろうか、お断り前提のような高額な見積回答がくることが多くあります。(図2)

中国の部品メーカーに「とりあえず」でない本気の見積依頼をするには、「コスト的な条件が満足すれば、即発注します」というくらいの意思を示すことができるように、依頼する企業が明確な条件を提示する必要があります。

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図2 見積条件が明確に提示されないと、本気にならない中国人

 

★満足する見積回答がこない

私が中国に駐在して最初の頃は、満足する見積回答がなかなか揃わないことがよくありました。それは次のような内容です。

・図面は10部品分送ったのに、8部品しか回答が無い。
・回答がRMBでなくドルになっている。計算した為替が分からない。
・金型が4個取りになっている。1個取りで十分。

このような見積回答がきてしまうにはもちろん原因があります。それは依頼する日本企業が見積条件を明確に提示していないからです。見積条件は生産個数だけではありません。また中国ならでは必要な条件もあります。日本の部品メーカーに見積依頼をした場合はそれらの条件が例え見積依頼時に提示されていなくても、これまでにも何度も見積依頼を行っていれば「あうんの呼吸」で理解してくれる場合もあるし、またちょっとした足りない条件は確認の電話がかかってきます。そして、最終的には満足できる見積回答が来ることになります。ではいったい中国で見積依頼をする場合には、どのような条件を提示する必要があるのでしょうか。

 

★本気度を示す、漏れのない見積依頼

前述した2つの問題を解決するための見積依頼の方法をお伝えします。まずコストを決定する要素としての提示する条件です。
1)ロット(1回の生産個数、一般的には月の生産個数)
2)総生産個数(もしくは、生産期間)
3)金型の取数(金型が有る部品の場合)
4)保税するかしないか

次にコストを決定する要素で、見積依頼する企業と部品メーカーでの協議が必要なものです。
5)MOQ(Minimum Order Quantity)
6)マシンチャージ
7)材料費

コストに影響はないが、見積依頼する企業が希望するコストの提示条件
8)通貨単位(一般的にはドルかRMB)
9)増値税を含む、もしくは含まない
10)見積は部品単価か金型費か、もしくは両方か

本気度を示すために提示した方が良い条件
11)量産開始時期
12)希望価格

 

上の条件の中のいくつかを解説したいと思います。

3)の金型の取数は、製品の生産台数とその部品の員数で決まります。小ロットの多い最近ではほとんどが1個取りと考えます。1個の金型で1個の部品が製造されることを意味します。まれに受注したいがために部品単価を安くして、その分金型の取数を多くして金型費を高額にしている見積書があるので注意が必要です。取数は見積依頼する企業が指定します。

4)の保税は、部品の材料を中国国外から輸入して、その部品を使用する製品を中国国外に輸出する場合、その材料費に関しては関税のメリットが受けられます。見積書に記載されている材料費から関税を差し引いておく必要があります。

5)のMOQは、1回の製品の量産に使用する部品の数量だけ部品メーカーが部品を生産して納品すれば問題はないのですが、コスト削減のためにそれ以上の個数を生産する場合があります。部品が大きい場合、その部品はどこで在庫するかを決める必要があります。また輸送費を削減したいため、1個のカートンに部品の入数いっぱいに部品を入れたいです。これらのことからMOQはコスト決定に大切な要素となります。

6)のマシンチャージは設備や装置(成形機など)の使用料です。どのような設備を使用するかを取り決めておく必要があります。

9)の増値税は、一般的には部品価格には増値税を含まず、金型費には増値税を含んで見積価格を提出してもらいます。計算は簡単にできるのですが、増値税を含んでいるか否かを表示してもらいましょう。

11)量産開始時期は、本当に量産計画があるこという本気度を示すとても重要な要素です。未定では「とりあえず」の見積であると判断されてしまいます。

12)の希望価格は、基本的に提出された見積価格がその希望価格以下であれば発注します、という意思表示になります。メーカーから本気の見積回答をもらうには大切な要素となります。

皆さんも是非これらの条件を提示して、満足の行く見積回答を得るようにしてみてください。

 

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ソニー(株)に29年間在籍し、メカ設計者としてモニターやプロジェクター、プリンターの合計15モデルの商品化を行う。ソニー退職直前には駐在を含み7年間わたって中国でのモノづくりに携わり、約30社の中国メーカーで現地部品の立ち上げと、それに伴う製造現場の品質指導を行う。このときに、中国で発生する不良品やトラブルの60%は日本人の設計者に原因があることが分かり、その対応方法を広く伝えるべくソニーを退社し、2017年に「中国不良ゼロ設計相談所」ロジを設立する。 専門領域:CAD設計、商品化技術ノウハウ、冷却技術、防塵技術、部品メーカー品質指導ノウハウ、中国メーカーとのコミュニケーションノウハウ