【失敗しない!中国ものづくり|第10回】春節だけで15%の作業者の入れ...

2019/6/10 ロジ

【失敗しない!中国ものづくり|第10回】春節だけで15%の作業者の入れ替わる製造ライン

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 今回のコラムから技術的な内容に入っていきたいと思います。中国の工場では日本のお正月に当たる春節の前後で、約15%の作業者が入れ替わります。つまり春節後は10人の作業者のいる製造ラインには、1〜2人の新人がいるわけです。教育システムがしっかりしていないともちろん品質は不安定になってしまいます。さらに年間を通しては約30%の作業者が入れ替わります。この状況において、設計者はどのように対応していけば良いでしょうか。

作業者のスキルに依存してはならない

 日本の部品メーカーの作業者の入れ替わりはそれほど多くはありません。またテレビでよく紹介される日本の町工場には、スキルの高い熟練工、いわゆる匠の職人が多くいます。このような人たちは設計者と長年の付き合いがあり、設計者から提供される図面や情報に曖昧なところがあっても「あうんの呼吸」で設計者の意図を理解して部品を作製します。また製造ラインは整理整頓され、設計者が設備や文書を確認する必要はほとんどありません。

 一方中国はどうでしょうか。前述したような作業者の入れ替わりの激しい製造ラインではとても作業者のスキルに頼ることはできません。つまり私たちは作業者のスキルに依存しない工程、つまり「誰」が作業しても「同じ作業」になる仕組みを作る必要があるのです。

 では、作業者は製造ラインで何を使って作業しているか考えてみましょう。私は主に次の4つと考えています。電動ドライバーやニッパーなどの工具、溶接機などの設備、部品を固定する治具、そして作業する方法と手順を記載した作業標準書です。また工程の最も上流には金型もあります。

 これらの中で金型に関しては、設計者は多くの時間を割いて注意深く確認を行っています。ヒケやバリなどの感覚的な判断が必要な箇所は中国人と判断基準が大きく異なる場合が多いので、設計者は製造現場での作業に立ち会い納得のいくまで修正を加えていきます。

図1 納得のいくまで金型の修正に立ち会う設計者https://roji.global/korona-kennshu2/

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ソニー(株)に29年間在籍し、メカ設計者としてモニターやプロジェクター、プリンターの合計15モデルの商品化を行う。ソニー退職直前には駐在を含み7年間わたって中国でのモノづくりに携わり、約30社の中国メーカーで現地部品の立ち上げと、それに伴う製造現場の品質指導を行う。このときに、中国で発生する不良品やトラブルの60%は日本人の設計者に原因があることが分かり、その対応方法を広く伝えるべくソニーを退社し、2017年に「中国不良ゼロ設計相談所」ロジを設立する。 専門領域:CAD設計、商品化技術ノウハウ、冷却技術、防塵技術、部品メーカー品質指導ノウハウ、中国メーカーとのコミュニケーションノウハウ