叱りやすい「技術者」と叱りにくい「技術者」
部下の技術者の中には色々な叱責を、
「わかりました。すいませんでした。」と気持ちよく受け入れる者から、
「どうして、そんなことを言われなくてはいけないのですか?」という者まで色々です。
叱りやすい技術者と叱りにくい技術者
技術者指導者層も人間ですから叱りやすい、つまり言いやすい人間には色々と注意をし、育成もします。
その一方で、言いにくい人間は基本的に放置するという傾向があります。
本人のためを思って色々言ったとしても、様々な文句を言われたり、良い顔をしなかったりという場合、色々話をするのが億劫になるのでいたしかたないことだと思います。
ただし、注意や育成を言いやすいからと言ってその人間だけを叱責する育成を行っていては、どうしても人材にばらつきが出てしまいます。
放置されがちな技術者は我流で育つため、バランスが悪くなる(強みも育つが、弱みも多くなる)傾向があります。
言いやすい若手技術者への影響
そしてそれ以上に問題なのは、色々言いやすい若手技術者への影響です。
すぐに反発する、顔に出るといった若手技術者はある意味素直なので技術者指導者層も、
「このくらいでいうのをやめておこう」
となります。
その一方で叱責しやすい若手技術者はどのようなことも、
「はい、わかりました」
と素直に聴いてくれるので、
「じゃぁ、ついでに言うけどな……」
といろいろ言いたくなってしまうものなのです。
ところが、どちらも同じ人間。
言われたことに対する精神的ダメージには、言いやすい技術者とそうでない技術者であまり差はありません。
「不快だな」
というのが顔に出るのか出ないのかの差だけなのです。
これを分からずに、言いやすい若手技術者だけに色々なことを叱責したり、要求したりすると、場合によってはそれが若手技術者の負担となってしまいます。
精神的な負担を訴えて休職する技術者の多くは、
「積極的」
「友好的」
「我慢強い」
という性格が多いと思いませんか?
つまり、
「自分は苦痛である」
ということを伝えるよりも、周りと積極的にかかわって解決法を見つけようとする、そしてその苦痛を耐えることで自分は成長できる、と考えている、そんな技術者が多いのです。
すぐに顔に出たり、文句を言うような若手技術者はそこまで追い詰められることはありません。
上司もあまり言いませんし、何よりそのような若手技術者が仕事を任されることが少ないため、プレッシャーが無いからです。
顔に出るか出ないかの差だけで、精神的なダメージは一緒である。
叱責の際には、一度冷静に振り返っていただければと思います。