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若手技術者に仕事を振り過ぎない

若手技術者に仕事を振り過ぎない

まだ経験が未熟な若手技術者に、多くの仕事、もしくは責任の重い仕事を振りすぎていないでしょうか。

過去の経験は脚色してしまいがち

技術者としてのスキルを上げるには、実務経験が第一というのは疑いのない事実です。

ところが、任せられる仕事の量と責任の重さが、若手技術者にとってあまりにも大きいというケースがあります。

入社して4~5年を経て経験値を積み上げてきている技術者はある程度経験として必要ですが、まだ入社間もない1~2年目の技術者に多くの仕事や責任の重い仕事を割り振るのは問題です。

 

技術者指導者層の方々で、優秀かつ過去に成功体験のある方ほど、

「自分の時代はこれぐらいのことはやってきた」

と考えるため、同程度の成果を経験の浅い若手技術者にも求めるケースがありますが、人間の深層心理として大なり小なり自分の過去の経験には脚色をしてしまうことはよく知られています。

 

さらに、厚生労働省の「ものづくりを支える人材育成の取り組みと課題」の調査でも明らかになってきているように、情報技術の進化による情報共有スピードの劇的な向上と新興国の台頭により、技術者に対する要求技術レベルが年々上がってきている、ということを理解しておく必要があります。

これらのことを忘れて多くの仕事や責任ある仕事を経験未熟な若手技術者に割り振ってしまっては、
長時間労働の常態化やうつ病といった事態につながりかねません。

仕事を割り振る際の2つのポイント

ではどうしたらいいのでしょうか。ポイントは2点です。

 

1点目:「少しずつ仕事を任せながら様子を観察する」
2点目:「若手技術者に問題が生じたときにフォローアップできるよう準備しておく」

 

「少しずつ仕事を任せながら様子を観察する」ことの理由としては、仕事を割り当てられた若手技術者にどのくらい余裕があるのか観察すること、そして仕事を任せられたことで若手技術者がどのように動くのかというのをみることで、仕事のやり方の癖を見極めるということです。

 

「若手技術者に問題が生じたときにフォローアップできるよう準備しておく」の理由は、いざというときには上司がいる、という安心感を持ってもらうことで若手技術者にできるかぎりのびのび仕事をしてもらうこと、そして何か問題が起こった際、バックアップに入ってその問題を迅速に解決することで、組織へ与える悪影響を最小化するということです。

 

実務経験によって若手技術者を育てるという考えはもちろん正しいのですが、
上記2点を考慮したうえで仕事を割り振ることで、結果的に若手技術者の育成の最短距離になるはずです。

 

出張や打ち合わせは部下に任せる

若手技術者に指導する際は、言葉だけでなく《活字》でも伝える


技術者育成研究所所長・FRPコンサルタント。入社2~3年目までの製造業に従事する若手技術者に特化した法人向け人材育成プログラムを提供し、自ら課題を見つけそれを解決できる技術者育成サポートを行う。◎東京工業大学工学部高分子工学科卒業後、ドイツにある研究機関 Fraunhofer Institute での1年間のインターンシップを経て同大学大学院修士課程修了。世界的な展示会での発明賞受賞、海外科学誌に論文を掲載させるなど研究開発最前線で業務に邁進する一方、後身の指導を通じて活字を基本とした独自の技術者人材育成法を確立。その後、技術者人材育成に悩みを抱えていた事業部から、多くの自発的課題発見/解決型の技術者を輩出した。◎11年にわたる企業の技術者勤務の後、自らの専門性を生かし複数企業と直接顧問契約を結ぶFRPコンサルタントとして独立。サポートを行う中で多くの企業が技術者人材育成に苦労している実情に直面。過去の技術者育成経験から、「一般的な人材育成」と異なる技術者に特化した「技術者人材育成」が必要と考え、「技術者人材育成研究所」を創業。FRPコンサルタントとしてFRPに関連する高い専門性の技術指導やサポートを行う一方、その受け皿となる現場の技術者の人材育成にも精力的に取り組んでいる。◎主な著書に『技術報告書 書き方の鉄則』、『CFRP~製品応用・実用化に向けた技術と実際~』(共著)など。◎Professional member of Society of Plastics Engineers( SPE; 米国プラスチック技術者協会)◎– 高分子学会(The Society of Polymer Science) 正会員◎– 繊維学会(The Society of Fiber Science/Technology)正会員◎– NPO インディペンデント・コントラクター協会(IC協会)正会員◎– 国立大学法人 福井大学 非常勤講師 http://engineer-development.jp/