ものづくりニュース by aperza

「やってる感」という技術者育成の罠

「やってる感」という技術者育成の罠

色々な技術者の方と話しているとよく聴く話があります。

「この評価試験は自分で行います」
「この加工は自分で行います」
「この試作は自分で行います」

試験や加工、そしてものづくりの試作など、技術者にとって現場作業というのはとても多いものです。

材料試験や試験片加工、ジグの試作など、手数(てかず)がいくらあっても足りないことも多いのではないでしょうか。

もちろん、やったことのない試験や作業は時に多くの発見をもたらし、視野を広げることにつながります。

ところが、育成という観点では罠があります。

「定常業務」の危険性

作業というのは自分の時間も取られてしまうし、本当に忙しい。

そして、作業は必ずどこかの段階で

「定常業務」

になります。

技術者としては成長するというより、

「経験の範疇で仕事をする」

ことになるのです。

これはとても危険な状態です。

「やってる感」を感じる技術者

何か一つのことを極める職人は別です。

職人というのは、1つのことを徹底的に深堀りし、極めることでその道の一線に立つことになります。

ところが、企業に勤める技術者が、

「自分はこれしかやらない、これを極める!」

というのは、各業界で既に抜群の知名度と実力を有する場合を除いて、柔軟性が求められるこのご時世の企業体質としては好ましいとは言えません。

定常作業を大量にこなして、いわゆる、

「やってる感」

を感じている技術者が多いようでしたら、是非環境を変えることをお勧めします。

 

自ら課題を見つける「自主性」と、それを解決できる「実行力」を養うには、常に上をめざし、自己研鑽し続けるという気持ちが大切です。

やってる感を感じている時点で、成長は停滞しているのだ、ということを技術者自身はもちろん、技術者指導者層の方々も気が付くことが肝要です。

 

やってる感ではなく、常に企業組織を成長させるような前向きな技術者を増やすことを心がけてみてください。


技術者育成研究所所長・FRPコンサルタント。入社2~3年目までの製造業に従事する若手技術者に特化した法人向け人材育成プログラムを提供し、自ら課題を見つけそれを解決できる技術者育成サポートを行う。◎東京工業大学工学部高分子工学科卒業後、ドイツにある研究機関 Fraunhofer Institute での1年間のインターンシップを経て同大学大学院修士課程修了。その後、複数の大手メーカーにて技術者として勤務。専門外の企業に転職したときは周りの会話についていけないという苦境に陥るが、試行錯誤の末に活字を基本とした独自の思考法を確立、開発最前線で成果を積み上げたことにより最先端研究プロジェクトリーダーに昇格。また、自らの立ち直りに実践した思考法を応用した技術者育成法により、技術者人材育成に悩みを抱えていた事業部から、多くの自発的課題発見/解決型の技術者を輩出。当時評価の低かった若手技術者を事業部最年少海外駐在者として送り出すなど、技術者教育でも高い評価を得た。◎11年にわたる企業の技術者勤務の後、自らの専門性を生かし複数企業と直接顧問契約を結ぶFRPコンサルタントとして独立。川中から川下の企業の研究開発最前線での技術指導、サポートを行う中で多くの企業が技術者人材育成に苦労している実情に直面し、専門性を生かすも殺すも人材に大きく依存することを実感。さらに自らの技術者人材育成経験から技術者育成には一般的な人材育成と異なる技術者に特化した「技術者人材育成」が必要という考えに至った。その後、技術者に特化した人材育成プログラムがほとんど存在しないことに着目して「技術者人材育成研究所」を創業、FRPコンサルタントとしてFRPに関連する高い専門性の技術指導やサポートを行う一方、現場の技術者の人材育成にも精力的に取り組んでいる。◎主な著書に『CFRP~製品応用・実用化に向けた技術と実際~』(共著)など。◎Professional member of Society of Plastics Engineers( SPE; 米国プラスチック技術者協会)◎– 高分子学会(The Society of Polymer Science) 正会員◎– 繊維学会(The Society of Fiber Science/Technology)正会員◎– NPO インディペンデント・コントラクター協会(IC協会)正会員◎– 国立大学法人 福井大学 非常勤講師 http://engineer-development.jp/