データで生き残る

データで生き残る

生産性を高めるのに必要なデータを把握していますか?

1.第4次産業革命

現在は第4次産業革命にあると言われています。

第1次産業革命:18世紀末以降の水力や蒸気機関による工場の機械化

第2次産業革命:20世紀初頭の分業に基づく電力を用いた大量生産化

第3次産業革命:1970年代初頭からの電子工学や情報技術を用いた一層のオートメーション化

これらに続くのが、第4次産業革命です。

内閣府のHPには、第4次産業革命のコアとなる技術革新として、ビックデータ、IOT、AI、ロボットなどが挙げられています。

そして、産業革命と技術革新はセットです。

 

一般的に、多くの人が革新的技術を使いこなすまでには時間がかかります。

例えば、第2次産業革命では、第1産業革命時の“遺産”が、革新技術普及の障害になっていたようです。

 

米国では、工場の動力源が電気に切り替わった後も、生産性は20年余り伸び悩みました。

設備レイアウトなどが、従来の蒸気機関時代から変わらず、電動の利点を生かしきれなかったからです。

 

革新的技術を生産性向上へつなげるには、過去を否定することが欠かせません。

馬車をどんなに多くの馬で引っ張っても、自動車には勝てないことを認める必要があるのです。

思考回路のコペルニクス的転回を求められることもあり、革新技術を武器とするまでには、普通、時間がかかります。

 

そして、今、第4次産業革命です。

ただ、この革命では、革新的技術の広がり方は、従来の比ではないように感じられます。

パソコン通信からインターネットへ、パソコンからスマートフォンへ、多種多様なコンテンツが提供され、デジタル技術を使いこなす武器の充実ぶりは、想像を超えて速いです。

 

第4次産業革命では、革新的技術が、従来とは比べようのないスピードで広がり、生産性を高めると予想されます。

OECDの調査によると、デジタル分野に積極的な上位5%の企業の生産性は09年から15年にかけて19%高まった一方、情報化の度合いが低い一般企業は4%しか高まっていません。

(出典:日本経済新聞2019年6月4日)

 

情報通信技術(ICT)を使いこなす企業と、そうでない企業の生産性の格差は広がりそうです。

デジタルデバイドという言葉もあります。

生き残るには、中小製造現場でも、ICTでもたらされる各種データを、使いこなすことが、求められそうです。

2.世界時価総額グローバルランキング

データを使いこなしている企業が、グローバルにも影響力を増しています。2019年3月末時点の世界時価総額グローバルランキングは下記です。

 

1.マイクロソフト      9050億ドル

2.アップル         8960億ドル

3.アマゾン         8750億ドル

4.アルファベット(Google)  8170億ドル

5.バークシャー・ハサウェイ 4940億ドル

6.フェスブック       4760億ドル

上位4企業が、時価総額9000億ドル前後で競い合っています。

(出典:GloTechTrends(グロテックトレンド) 2019年4月12日)

 

9000億は、日本円で100兆円の規模です。

2019年6月、国内で時価総額最大の企業はトヨタ自動車で22兆円余り。

グローバルトップクラスの企業はトヨタの5倍の時価総額を有しています。

そして、それらはすべてICT関連企業です。

 

1980年代、半導体が産業の米と言われていましたが、今や、データが産業の米、データで稼ぐ時代であると考えられます。

中小製造現場でもデータを生かすスキルを高める必要があるのです。

3.データ(証拠)を生かす

計測機器やインターネットの発達で、扱うデータの量が爆発的に増えています。

データの単位も、メガ、ギガを超えて、テラ、ペタ規模を耳にすることが増えてきました。

 

メガバイト   : 3.5 インチフロッピー

ギガバイト   : CD-ROM、DVD

テラバイト   : 現在の普通のハードディスク

ペタバイト   : アメリカにある図書館全体の情報

エクサバイト  : 人類がこれまで発した言葉の全体

ゼタバイト   : 2012年中のインターネットトラフィック

 

ビックデータ時代といわれる昨今、データは中小現場にもあふれています。

ただ、データが満ち溢れているからといって、それらを生かせなければ、データも宝の持ち腐れ、猫に小判、豚に真珠…。

もったいない状況と言わざるを得ません。

中小現場でも、そうしたデータを適切に収集し、価値を生み出したいのです。

 

生産性向上の取り組みでは、「仮説と検証」を繰り返します。

重要なのは、検証が欠かせないということです。

仮説の良し悪しを判断する判断基準を持たなければなりません。

「データ」が必要です。

 

「evidence based management」という言葉があります。

エビデンスに基づく実践 evidence-based practice

証拠に基づく政策 evidence based policy

根拠に基づく医療 Evidence Based Medicine

エビデンスに基づく教育 Evidence-based Education

 

従来のKKDに寄らず、客観的な証拠に基づいた「儲かる工場経営」を実践したいのです。

ベテランに依存しない、若手でも知恵を出しやすい現場づくりのために、データ(証拠)に基づいた仕組みを構築します。

 

例えば、弊社の付加価値額生産性を高める取り組みのひとつに「儲かる価格を設計しやすくする」があります。

ここでも仮説と検証でデータを使います。

価格設定で製造コスト分を構成する項目は「レート×時間」で表現されます。

詳しくはご指導やセミナーでお伝えしていますが、ここに製造現場の役割があるのです。

 

主体作業時間や自動サイクル運転時間、自動稼働時間を増やし、サイクルタイムを短くすることが、現場の使命であることが見えてきます。

価格設定の構造を明らかにして、構成要素のひとつである「レート×時間」から生産性向上の論点を引き出すのです。

価格を設定するのは経営者や営業だけではありません。データを中心に取り組めば明らかなことです。

 

従来のKKDに寄らず、客観的なデータ(証拠)に基づいて、仮説と検証を重ねれば、それが貴社独自の仕事のやり方となります。

 

そして、客観的なデータ(証拠)に基づいた仕事のやり方は、若手や中途採用者のモチベーションを高めると考えています。

ベテランやその職場に所属している期間が長い人材のみが幅を利かせている現場と違って、そうした現場には新たな活気が注入されるのです。

4.データを生かせる中小製造現場へ

第4次産業革命では、ICT技術の現場への浸透は加速されています。

これまでの産業革命とは異なり、武器の充実ぶりは急です。

データを使いこなす現場と、そうでない現場の格差は広がると予想されます。

 

データ(証拠)に基づいた実践では、生産性向上につながるデータの明確化が欠かせません。

データ採取の目的や理由を理解もせずに、ただ武器を持っているからと言って、やみくもにデータを採取していては、無駄を重ねるばかりです。

 

データがあふれている昨今、付加価値額人時生産性を高めるのに、どんなデータを抽出するべきか、考える必要があります。

先に示した「儲かる価格を設計しやすくする」は論点のひとつです。

 

1)生産性向上に寄与するデータを明らかにする。

2)そして、そのデータと生産性向上の因果関係を明らかにする。

 

その結果、データに意味づけがされます。

客観的なデータを生かせる現場では、若手や中途従業員が活躍できます。

その現場に長く所属しているのか、いないかに関わらず、その職場にとって良いことは、良いと、提案者は評価されるからです。

そして、そうした中小現場だけが生き残れます。

新たな活気を取り入れて、変化に対応できるからです。

グローバルに影響力の大きい企業群を眺めれば、自ずと気が付くことです。

 

第4次産業の真っただ中、データを生かすため、仕事のやり方を変えます。

データを生かして生き残り策を探るのです。

従来の技術革新と異なり、ICT技術の進化や普及のスピードが、速いことも忘れてはなりません。

生産性向上では、競合先に遅れをとらぬよう、先手必勝です。

 

生産性向上に寄与するデータを生かす仕組みをつくりませんか?

 

株式会社工場経営研究所 「儲かる工場経営」メルマガ ご登録ください。

毎週火曜日配信中。

https://48auto.biz/koujoukeiei/registp.php?pid=3

弊社セミナーへご参加ください。

経営者のための中小製造現場「生産性UP体制つくり方」セミナー!

URLをクリックしてしてお申込みください。

http://koujoukeiei.jp/seminar-lp


製造業専門の工場経営コンサルタント。金属工学の専門家で製造/生産技術、生産管理、IEにも詳しい。エンジニアの視点で課題を設定して結果を出し、工場で儲ける仕組みを定着させることを得意とする。コア技術の見極めに重点を置いている。 大手特殊鋼メーカーで20年近く、一貫して工場勤務。その間、エンジニア、管理者としての腕を磨く。売上高数十億円規模の新規事業の柱となる新技術、新製品開発を主導し成功させる。技術開発の集大成として多数の特許を取得した。 その後、家族の事情で転職し、6年間にわたり複数の中小ものづくり現場の管理者を実地で経験した。 大手企業と中小現場の違いを肌で理解しているのが強み、人財育成の重要性も強調する技術系コンサルタントである。 技術立国日本と地域のために、前向きで活力ある中小製造企業を増やしたいとの一念で、中小製造業専門の指導機関・株式会社工場経営研究所を設立。現在、同社代表取締役社長。1964年生まれ、名古屋大学大学院工学研究科前期課程修了。技術士(金属部門)