IoTで何を目指す?具体的なゴールを決めろ!

IoTで何を目指す?具体的なゴールを決めろ!

ゴールのない長距離走ほど苦痛なものはない。学生時代、部活の顧問に時間と距離の指示がないままによく走らされた。いつ終わるのか、何のために走るのか、なぜこんなことをやっているのかと思いながら走り、終わった時には無意味な疲れと苦しみ、顧問に対する不信感だけが残った。苦い思い出だ。

▼IoT導入に関して、実際に使う立場の現場が乗り気でないケースがたくさんある。社長が最近のIoTの盛り上がりをみて、自社でも取り組みたいと思って「ウチもIoTをやれ」と指示を出す。命令だからと一応は取り組むが、本音は「なぜ、何のためにこんなことをやるのか理解できない」という現場の声をよく聞く。そんな時は、無意味に走らされていた自分の姿を思い出す。

▼IoTは、それを使えば何か良いことが起こるラッキーツールではない。すでに明確になっている目標やゴールに導くためのひとつの道具でしかない。ゴールがないままにIoTをやれと言われても現場は混乱するばかり。経営者がIoTを本気でやろうと思ったら、目標地点やゴールを具体的な数字で示すことだ。ひと月の生産量を5%増やす、納期を3日早める、1台生産する時にかかるコストを10%削減するなど何でもいい。目標を明確にして現場にそれを求めれば、現場はそれに向かって努力をする。IoTの第一歩はそこから始まる。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。