日本の製造業に必要なのはCIOである

日本の製造業に必要なのはCIOである

日本の製造業のIoTの普及がなかなか進まない、ITを使って付加価値や新たなビジネスがなかなか出てこないのはなぜだろう? 導入にかかる予算や人材の不足、現場の反発、ITへの理解不足など、理由はいくつもあるが、どこの企業にも共通する決定的なことに気づいた。それが「CIO」の不在だ。

▼CIOはチーフ インフォメーション オフィサーの略で、企業のIT・情報戦略部門を率いるトップのこと。情報システムを構築して業務環境を整備するのはもちろんのこと、IT技術を使って自社の製品やサービスにどう付加価値をつけていくのかということを考えて実行するのもCIOの役割だ。アメリカでは企業にCIOを設置しているのが当たり前で、IoTや新たなサービス開発はCIOが責任者となって進めているケースが多いのだという。日本の製造業では、一部の大手企業を除いてCIOがいる企業はほとんど見かけない。

▼企業活動を円滑に進めるためには、基幹システムやネットワーク、工場のシステムといったIT基盤が欠かせない。これまでは、それを整備する人材がいれば良かった。しかしこれからは、その基盤を使ってビジネスを作り出す、成果を上げていかなければならない。「IoTをやりたい」「デジタル化を進めたい」そのためには、何より実行権限を持つ責任者としてのCIOが必要だ。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。