日欧米の融合 KAIZEN × IoT が生み出す日本の強み

日欧米の融合 KAIZEN × IoT が生み出す日本の強み

世界で高く評価される日本の食文化。SUSHI(スシ)、TEMPURA(テンプラ)、SAKE(サケ)など、表記がそのまま世界で使われる言葉になったものがたくさんある。またSUMO(スモー)、SAMURAI(サムライ)、KIMONO(キモノ)など、日本の伝統的な文化を表す言葉も世界標準語になっている。とは言え、我らが製造業も負けてはいない。KAIZEN(カイゼン)、KANBAN(カンバン)は世界標準語であり、しかも現場に浸透している。

先日、KAIZENをテーマにした会合に参加する機会があった。各社から様々なプレゼンがあり、いくつもの素晴らしい話を聞くことができた。なかでも印象に残ったのが、ある参加者からの「欧米の製造業はトップダウンの『戦略文化』だが、日本は現場からのボトムアップの『戦術文化』である」という言葉だ。確かに、日本はこれまで現場メンバーの知恵、チームワークの高さによって、日々のKAIZENの積み重ねの先に、強い日本製造業を体現し、世界から評価されてきた。私自身、何となく分かっていたつもりだったが、現場を知り尽くした人の口から的確な言葉で表現され、ストンと腑に落ちた気がした。

IoT、インダストリー4.0など、最近の製造業界隈でこれらの単語を聞かない日はない。しかし「IoTって何?どうやればいいのか?」といった話を聞くことがいまだに多い。現場に浸透したとは言い難く、いまだに「外国語」の域を脱していない。日本の製造業に脈々と受け継がれるKAIZENの文化。現場で生まれる日々の知恵と課題を克服するチームワークから自然と体現されるこの文化と、戦略国家の欧米で生まれた最新の技術とその考え方の融合「KAIZEN×IoT、インダストリー4.0」。良い文化同士を掛け合わせた時、どんな世界が生まれるのか楽しみだ。これはKAIZENの土壌と、IoT技術を持つ日本だからこそできる強みになる。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。