第4次産業革命は対岸の火事ではない。早めの対応がチャンスを呼び込む

第4次産業革命は対岸の火事ではない。早めの対応がチャンスを呼び込む

第4次産業革命は、FAに関連する人々にとっては毎日聞くワードだが、そこから一歩離れると、同じ製造業界であっても意外とサバサバしていることに驚く。インダストリー4・0って何?聞いたことはあるが自分とは関係ない、話題にもならないなんて話を聞くと、その淡白さに危機感を覚えてしまう。

▼ある加工機メーカーがインダストリー4.0対応をうたった新製品を発表した。それは従来の加工機に通信機能が付いた「だけ」のものであり、インダストリー4.0対応とは言い難いものだったが、将来に向けたその企業の姿勢が透けて見え、心強く感じた。製品開発担当に話を聞くと「IoTは正直よく分からないが、加工機自体に通信機能が付き、データ連携しやすくなれば、前後の工程と連携して今以上にQCDを上げられると思った」と話してくれた。確かに、スタンドアロンの加工機で競合他社の製品には通信機能はついていない。この企業は、他社に先んじて第4次産業革命に向けて小さな一歩を踏み出している。数年後にIoT対応が当たり前になった時には大きなリードができているだろう。

▼第4次産業革命、インダストリー4・0、IoTは、いま製造業のなかでもFAや制御業界を中心に盛り上がっている。しかし数年のうちに周囲に波及し、製造業に関わるすべてに影響を及ぼすことは間違いない。今関係性が薄い分野や業務と思っていても、必ずそれへの対応が求められるようになる。その意味では、対岸の火事ではない。今のうちから早めに対処し、経験を積んでおくことはチャンスになるはずだ。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。