技能継承に必要な言語能力と専門知識

技能継承に必要な言語能力と専門知識

貴社では技能継承に取り組んでいますか?

1.ベテラン作業者の持つノウハウや3K情報を引き継ぐには

日本の現場では、

世界でもトップレベルの改善や品質管理が、

ベテラン作業者のカンや経験に支えられながら展開されてきました。

 

したがって、今後、

ベテランが退職していくにしたがい、

強みの源泉が失われる懸念があります。

 

そこで、情報通信技術(ICT)を活用して、ベテランの感性を引き継ぐことを考えます。

複数のデータをリアルタイムで統合させ、的確な判断を可能にするシステムを構築するのです。

こうして、ベテランの感性を引き継ぎます。

このように考えれば情報通信技術(ICT)を現場へ導入する目的が明確です。

インダストリー4.0やIndustrial Internetの考え方を現場へ展開するきっかけとなります。

GEの関係者も、

IT(情報技術)を使って、

日本メーカーの優れた品質管理や改善活動などの強みを進化させられると考えています。

そして、

より高い水準に持っていくのに、

Industrial Internetは役に立つとも語っています。

 

ジェネックスパートナーズ

代表取締役会長の眞木和俊氏は

技能継承にICTを活用すべきと語っています。

 

匠の技やからくりのノウハウを持っている

ベテランの職人技を、

人的な継承だけでなく、

情報通信技術を使いながらAI

やロボットによる技能継承手段を検討することも必要であると語っています。

人の感覚器よりも

感知性能に優れた

センシング技術を活用することで、

ベテランが

定期的な目視検査で

見極めていた切削刃の交換時期を、

高感度カメラで撮影した

切削面の画像と

切削時の振動音の周波数変化から

自動的に判別できます。

(出典:日経ものづくり2016年5月号)

今後、センシング技術は、

ベテランの感覚鋭い目や耳の代わりが

できる程に進化すると期待できます。

 

それは、現象を客観化するための

デジタル化には欠かせない技術です。

 

現物を観察して、判断を要する作業は、

科学の力、特にセンシング技術に任せます。

そうすれば、現場はより創造的な仕事に従事できるのです。

 

こうした点を踏まえて、

日本独自の

スマート工場を構築したいのであれば、

長く工場で働いてきた

ベテラン作業者の持つノウハウや

3K(勘、コツ、経験)の情報は貴

重な経営的資源であり、

これらをいかに効果的に生かすかが重要です。

(出典:日経ものづくり2016年5月号)

 

こうした仕事を進める時に、2つのネットワークが大切であると、眞木氏は説いています。

・ベテランと若手人財の「ヒューマンネットワーク」

・ロボットやAIとの「デジタルネットワーク」

 

この2つのネットワークの両立が重要です。

 

ベテラン作業者の職人技を

デジタル化するにあたって、

ヒューマンネットワークが大切な役割を果たします。

技能継承には人的要素も欠かせません。

 

2.技能継承に必要な2つのこと

製造現場で生かす日本らしい情報通信技術を考えると、

「ヒューマンネットワークを土台としたデジタルネットワークの構築」

のイメージが浮かびます。

 

そして、「ヒューマンネットワーク」で必要なのは、次の2つです。

・コミュニケーション力

・工学的な専門知識

 

これらを駆使して、ベテランから有益な情報を引き出します。

 

そして、ベテランの言葉を翻訳し、工学的な解釈を加えます。

そうして、ベテランの技能を数値化するのです。

 

ですから、ベテランの技能を数値化するには、言語能力と専門知識が必要です。

若手が先頭に立ってこうした仕事に挑戦すれば、技術屋の腕を磨くことができます。

 

技術力

技能承継に求められるのは、

コミュニケーション力+専門知識です。

 

両者がそろって初めて、ベテランとのネットワークが成立します。

コミュニケーション力のみでも、また専門知識のみでもダメです。

両方がそろって、成果が得られます。

 

コミュニケーション力と専門知識

技能承継に求められる

コミュニケーション力+専門知識は、

若手に習得して欲しいことでもあります。

 

今後、現場へIoTが導入されるときも、技能伝承と同じ状況に至ります。

現場の仕事を翻訳して、デジタル化することが必要になるからです。

 

若手には、コミュニケーション能力と専門知識を大いに学んでもらいたいものです。

こうした能力を高め、技能継承や情報通信技術の現場への導入で活躍してもらいます。

将来のイノベーションも期待できるのです。

 

若手がコミュニケーション能力や専門知識を学ぶための環境整備をしませんか?

 

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出典:株式会社 工場経営研究所 伊藤哉技術士事務所


製造業専門の工場経営コンサルタント。金属工学の専門家で製造/生産技術、生産管理、IEにも詳しい。エンジニアの視点で課題を設定して結果を出し、工場で儲ける仕組みを定着させることを得意とする。コア技術の見極めに重点を置いている。 大手特殊鋼メーカーで20年近く、一貫して工場勤務。その間、エンジニア、管理者としての腕を磨く。売上高数十億円規模の新規事業の柱となる新技術、新製品開発を主導し成功させる。技術開発の集大成として多数の特許を取得した。 その後、家族の事情で転職し、6年間にわたり複数の中小ものづくり現場の管理者を実地で経験した。 大手企業と中小現場の違いを肌で理解しているのが強み、人財育成の重要性も強調する技術系コンサルタントである。 技術立国日本と地域のために、前向きで活力ある中小製造企業を増やしたいとの一念で、中小製造業専門の指導機関・株式会社工場経営研究所を設立。現在、同社代表取締役社長。1964年生まれ、名古屋大学大学院工学研究科前期課程修了。技術士(金属部門)