情報は漏れるもの。発想の転換から始まることもある

情報は漏れるもの。発想の転換から始まることもある

4月には地方から上京したと思しき若者の姿を多く見かけた。進学したばかりの学生、研修で東京に集められた新入社員など、街中で右も左もわからず戸惑っている様子が初々しい。憧れの都会生活は、多くの人との出会いがあり、刺激的で楽しいことも多いが、多くの危険をはらんでいる。

▼国内でもIoTを導入した事例や具体的なソリューションが出てきて、「ウチもIoTを導入するぞ」そんな意気込みを見せる企業が増えてきた。IoTは時代の流れであり、導入を検討することは素晴らしいことだ。しかし、IoTでさまざまなものがつながるようになると、情報の出入口が多くなり、外部からの攻撃を受け、内部から情報が流出する危険性が高まる。最近サイバーセキュリティが話題になっているが、IoTに取り組むにあたりその重要性は再認識しておかなければいけない。

▼田舎にいる時は周りに知り合いが多く、さらに親や友達など自分を守ってくれる存在があった。都会に出た瞬間、その壁は取り払われ、危険と隣り合わせになる。上京した若者には、自分の身は自分で守るという意識改革が必要だ。IoTも同じことが言え、導入によって便利になる一方でリスクは高まる。これまでと同じく、情報を漏らさない、不審者を侵入させないような堅牢な仕組みづくりはもちろん大事だ。しかし逆に穴だらけなのだから「情報は漏れるもの」という前提で、被害を最小限にする仕組みや工夫に力を注ぐという考え方や事業へのシフト一つの手だ。危険やリスクとどう付き合うか、そこがIoT導入のポイントだ。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。