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ソラコム、製造業セッション「discovery2018」 工場でのIoT活用を紹介

「早く、安く、現場目線で」日本電産 丸谷亮祐氏
「スモールスタート重要」FAプロダクツ 貴田義和社長

ソラコムは7月4日、東京都港区のANAインターコンチネンタルホテル東京で年次イベントとなる「discovery2018」を開催した。キーノートスピーチで玉川憲CEOが同社の最新動向を解説したほか、製造業やインフラ、サービス業などでの事例や活用方法などを28のセッションで紹介した。

ここでは、製造業関連のセッションのひとつ、「工場でのIoT活用 ~レガシー機器をIoT化する方法~」をレポートする。

ソラコムFAP

▲工場での事例等を紹介した

同セッションは、ソラコム プリンシパルソフトウエアエンジニア小熊崇氏をモデレータとして、日本電産 情報システム部IT事業推進室の丸谷亮祐氏とFAプロダクツ貴田義和社長を迎えて行われた。現在稼働している昔ながらの機器や装置をいかにIoT化していくか、工場のIoTは何から始め、どうすればよいのかをテーマに行われた。

はじめに丸谷氏が日本電産における工場IoTの取り組み状況について話した。工場のIoTを進めるためには、安く、早く、現場目線で寄り添う形で行うことが大事とし、2万円で作った金型の温度が図れるかんたんIoTで外観不良を20%から3%まで下げた事例を紹介した。

続いて貴田氏は、多くの企業でIoTがなかなか始められないのは費用対効果の算出が難しいからだと指摘し、「まずはスモールスタートで始めて仮説を立てることが大切」と話した。

 

続いてQ&Aに入り、「世の中の工場のどれくらいがIoTを活用しているのか」という質問に対し、丸谷氏は「ほとんどの工場でやろうとしており、できている工場とそうでない工場に分かれている」とし、貴田氏は「見える化までで終わっている。分析までできている企業はほとんどない」と回答した。

「IoT導入に対しての障壁について、貴田氏は費用対効果が出せずに稟議を通せないことと、丸谷氏は現場の作業者レベルまでIoTに納得感が浸透できていないことを挙げた。

数年後の工場の姿については、丸谷氏はAGVが動き回っている状態を理想として挙げたが、実際には現場の人がIoTに興味を持ってもらえている状態だろうとし、貴田氏は装置の設定値を自動変更がゴールだが、大手自動車メーカーくらいしかできないだろうと話した。

 

最後に「IoTを成功させる秘訣」について、丸谷氏は「ラインの小さなところでPDCAを回し、小さく始めること」を挙げ、貴田氏は「経営層がどんな工場にしたいか、どんな効果を出したいかを明確に打ち出すこと、ビジョンが大事」とした。

さらに「日本の企業は自社の情報を隠したがるが、IoTの取り組みや成功例を自慢し合う風土ができれば盛り上がっていくだろう。IoTが人気になれば製造業界にも若い人が入ってくる。そういう文化を作りたい」と話してセッションを締めた。

参考:ソラコム


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。