Solace、業界最速のパフォーマンスを誇るメッセージブローカー無償版など発表
イベント駆動型のデータ連携プラットフォームを開発するSolace(カナダ・オンタリオ州、以下ソラス)は、異なるシステム間の通信をメッセージで連携するメッセージブローカー製品のラインアップ拡充を発表した。
また、発表に併せて一連のメッセージブローカー製品のブランド名を刷新。機能性と価値をより明確に表現したという名称「Solace PubSub+」を紹介した。
データを自由に移動させる技術
ソラスは、オープンAPIと各種プロトコルを使用して、クラウド間やシステム間で自由にデータ移動ができる「Open Data Movement」という技術を開発している。大手カード会社や、シンガポールの交通機関、米国航空機関、日本国内においては金融機関など、多くのグローバル企業にソラスの技術が活用されている。
ソラスのアジアパシフィック・日本担当シニアバイスプレジデントであるケント・ナッシュ氏は、新しいプロダクト名「Solace PubSub+」を発表し、「PubSubはパブリッシュおよびサブスクライブを略しており、+はパブリッシュ/サブスクライブ以外にもキューイング(永続化)やリクエスト、ストリーミングなどを手がけている意味。ソラスはこれらを1つのプロダクトにまとめている唯一の企業」と説明した。
▲アジアパシフィック・日本担当シニアバイスプレジデントのケント・ナッシュ氏
IoTに適したイベント駆動型のシステム連携
カントリーマネージャーの山口智之氏は、「現在、イベントドリブンが非常に注目されている。例えば、センサー情報で温度が25度を超えたらこういう処置を行うなど、データの種類に応じたイベントをトリガーに、いろいろなシステムがリアルタイムに稼働するというもの。
これを実現するには、クラウド環境、オンプレミス環境、あるいはIoTデバイス、サーバーアプリケーションとさまざまなものがあるが、これらをどうやって連携させるのか、プロトコルといわれる仕様や管理、セキュリティ、パフォーマンスなど、非常に課題が多い。
ソラスはこの課題に対して鍵になる部分を提供する」として、ソラスのプロダクトを紹介した。
▲カントリーマネージャーの山口智之氏
「Solace PubSub+」は、AMQP、MQTT、RESTなど、あらゆるプロトコルをサポートし、それらを実装するオープンAPIに対応、クラウドやオンプレミスなどの環境も問わず、イベント駆動型のシステム連携をメッセージ通信で実現できる。
受け取ったメッセージのプロトコルを変換して別のシステムにデータを連携。メッセージのリクエストをトリガーに、別のシステムにアクションを起こさせることが可能だ。
メッセージの連携には、同報配信するケースで利用するパブリッシュ/サブスクライブ方式のほか、質問に対して返答するリクエスト・リプライ、人工知能などに大量データを流し込む場合などに行われるストリーミング、必要に応じてデータを遡って再生するリプレイなどが可能となっている。
提供形態は、ハードウェアのアプライアンス、仮想アプライアンス版といえるソフトウェア、As a Serviceでメッセージの基盤を提供するクラウドの3種類を展開。
価格は、ハードウエアアプライアンスが1500万円ほど、ソフトウェア版の標準価格は約300万円、クラウド版は月額数千円からとなっている。
フル機能搭載の無償バージョンとクラウド商用版をリリース
今回ソラスは、「Solace PubSub+」ソフトウェア版の無償バージョン「スタンダードエディション」と、クラウド版「Solace PubSub+ Cloud」の商用バージョンを発表した。
「スタンダードエディション」は、もともとライセンス製品として販売予定だったとあり、メッセージングはフル機能を搭載している。最大メッセージングレートは1万メッセージ/秒、同時接続数は1000コネクション。オプションで購入可能な保守サポートを併せることでエンタープライズ環境での実用にも十分可能という。
さらに大規模になった場合は、エンタープライズエディション(ライセンス版、最大150万メッセージ/秒、20万コネクション)へとスケールアップしていくことができる。山口氏は「無償版の数字でも業界最速」と説明した。
「Solace PubSub+ Cloud」は、6カ月のβ版公開期間を経て今回リリースとなった。第一弾としてAWSの4リージョンをサポートしており、Azure、Google Cloud プラットフォームのサポートも順次開始予定という。
また、特定のデータベースや、さまざまなレガシーシステムからでも簡単に「Solace PubSub+」のメッセージブローカーに接続できるコネクター「Solace HybridEdge」も紹介した。
「ソラスの技術を提供することで、イノベーションを起こす人は本来の業務に集中することができる」とケント・ナッシュ氏は語った。