SFを技術開発の道しるべに

SFを技術開発の道しるべに

アメリカの大ヒット映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー パート2」は2015年の未来が舞台となっていた。

実際の2015年には、映画で描かれた光景と現実の比較がブームとなった。例えば浮くスケートボードや履くと自動でジャストフィットする靴、ゴミを燃料とする車など映画に出てきた技術について各方面から検証され、アメリカでは実際に作ってみようという試みが数多く行われた。

日本も負けてはいない。タケコプターをはじめとするドラえもんの秘密道具の数々、風の谷のナウシカの個人用飛行ユニット「メーヴェ」、「AKIRA」に出てきた電動バイク、機動戦士ガンダム、トランスフォーマーなど、昔のアニメで見た技術を今の技術で再現しようという取り組みが企業や個人レベルで取り組まれている。

 

バック・トゥ・ザ・フューチャー、ドラえもん、ガンダムなど、いわゆるSFは、その発表当時は現実世界と大きくかけ離れ、いわば荒唐無稽な話だった。

しかし2020年の今、技術を駆使すれば、かつて憧れていたものを現実にできる時代になりつつある。中にはすでに巨大ビジネスになっているものもある。

夢を技術で現実にする。ポジティブ思考のものづくりは、やっている本人も、周りで見ている人間も楽しくさせる。ビジネス的に難しそうなものも散見するが、それでも未来に向けた夢やロマンを与えてくれる。

 

SF世界は人の願望や理想、想像から生まれる。荒唐無稽なものもあるが、一方で技術開発の道しるべになりうる。

科学技術の進化によってかつてほど人が夢や想像を膨らませられる範囲は狭まっている。それでも宇宙や深海など未開拓分野はたくさんあり、地上にも私たちの知らない世界が広がっている。

目指すべきポイントを示すことは重要だ。いま現実の世界は暗い話題でもちきりで、悲観的な声も多い。想像だけなら無料で無限だ。こういう時こそ振り切って、もっと未来を見る、SFや想像の世界に飛び込んでみると意外な発見があったりする。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。