RFIDの特長
非接触読取
RFタグを目視できない場所であっても、電磁波または磁界が届く範囲であれば読み取ることができる。
したがって、電磁波や磁界を遮断する金属材料でない限り、RFタグを瓶や袋に同封したり、製品に埋め込むことができる。
また、読取距離は、周波数帯域によって異なるが、最大数メートルまでの読み取りが可能である。
目視せずに数メートルの読取ができることは素晴らしい特徴であるが、一方では、知らずに読み取られるというセキュリティ問題と確実に読み取れているかどうかを確認できないという課題がある。
さらにバーコードのように読取エリアにある複数のRFタグを任意に識別して読み取ることもできない。
リードライト
RFIDは、バーコードと異なりリードライトできる。これにより生産データや物流データを追記することができるので、自律型システムの構築が容易である。
また、データをクリアして再使用することができるので、ランニングコストを下げることができる。
しかし、リードライト型は、リードオンリー型に比べ高価なので、交通カードや生産管理のように繰り返し使用できる場合に限られる。
物流管理では、目視文字が不可欠であり、また、使い捨てになることが多いのでワンタイムライト型のRFタグラベルを利用することが多い。
商品管理では、価格を優先すると共に、データの改竄を防ぐために読取専用を使用することが多い。
複数同時アクセス
RFIDは、バーコードと異なり複数同時アクセスが可能であるため、読取作業を大幅に省力化させることができる。
同時アクセス数は、50個以上可能になっているが、タグ同志の接触やタグに向きによって読取できない場合があり、現状では全数読取の確認が必要である。
したがって、員数確認を容易にするために、読取個数を10個以下に制限していることが多い。
員数より読取数が少ない場合は、1個づつ読み取りし直し、万一RFタグが故障して読めない場合は、バーコード読み取りしていることが多い。
優れた耐環境性
RFタグは、樹脂に封入されているので、埃、汚れ、水、薬品等の影響を受けにくい。また、振動や衝撃に強いような構造になっている。
ただしマイクロ波(2.4GHz帯)は、水と共振し電波が吸収されてしまうので注意が必要である。
例えば、霧の中では、読取距離が減少した例もある。また、金属は、電波の放射を妨げたり、反射したりするので注意する必要がある。
高信頼性
汚れや傷などのバーコードラベルの障害は、目視で確認することができるが、RFタグは、アクセスしない限り故障しているかどうか確認できないので、極めて高い信頼性が要求される。
RFIDチップの信頼性は、高い品質管理により極めて高いレベルであるが、アンテナやバッテリーとの接合部分で障害が発生することが多い。
したがって、RFタグが故障したことを想定したシステム設計をすることが肝要である。
長寿命
RFタグのICチップは、半導体であるので半永久的に使用できる。また、受動型は、バッテリーを持たないのでバッテリー寿命を心配する必要がない。
しかし、チップを封入した樹脂は、経年変化があるので、ひび割れて故障する可能性がある。
屋外で長期に亘って使用する場合は、紫外線の影響を少なくするなどの処理が必要である。
超小型
ICチップそのものは、ゴマ粒のように超小型であり、日立のμチップのようにアンテナ付きで数mmの製品もあるが、読取距離が数cmと短くなる。
通常、ある程度の読取距離を確保するために、大きなアンテナを付けたり、アンテナコイルの巻き数を多くする必要があるので、時には、バーコードラベルより大きくなることもある。
また、振動や使用温度や金属などに対する耐環境性を考慮してモールドしたり、樹脂ケースに封入するとそれなりのサイズになる。
価格
ICチップの価格は、チップサイズを小さくし、1枚のシリコンウェハから沢山のチップが取れるようにし、更に大量生産すれば数円で製造することは可能である。
しかし、それにアンテナを付け、樹脂に封入する加工費用を付加すると、数円に抑えるのは非常に困難である。
さらに、そのRFタグをラベルに加工したり、取り付け易い形状に加工し、それに営業経費を加えると、どうのように考えても10円以下というのは難しそうである。