RFIDの標準化
RFIDの標準化は、ISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気委員会)の共同委員会JTC1で行われている。
この中で、人を管理する非接触ICカードは、サブ委員会SC17のワーキンググループWG8で検討されており、物を管理するRFタグは、サブ委員会SC31のワーキンググループWG4で行われている。
日本規格JISは、ISO/IEC規格をベースに順次規格化されていく。
非接触ICカード
近接型のISO/IEC14443は、フィリップス社のマイフェア(Mifare)で代表されるタイプAと住民基本台帳や運転免許証等に使用されNTTが推進しているタイプBがある。
また、ソニーのFericaは、212KBPSの高速通信が可能な近接型の独自方式であり、交通カードSuicaや電子マネーEdyで知られている。
近傍型のISO/IEC 15693は、フィリップス社のI-CODE SLI、インフィニオン社のmy-d、テキサスインスツルメント社のTag-it HF-1、富士通MB89R116等のチップがある。
RFIDの空中インターフェース
使用する周波数毎にISO/IEC 18000-1〜18000-6の規格が審議されている。
ISO/IEC 18000-1は、一般パラメータの規格で、すべての周波数帯に共通する空中インターフェース通信のパラメータを規定している。
ISO/IEC 18000-2は、135KHz以下の電磁誘導方式の規格で、ドイツが提案しているタイプA(125KHz)とタイプB(134KHz)の方式が検討されている。
ISO/IEC 18000-3は、13.56MHの電磁誘導方式の規格で、従来のISO/IEC 15693にタグシス社の衝突防止方式を追加した方式(モード1)とマゼラン社(モード2)の方式が検討されている。
ISO/IEC 18000-4は、2.45GHzの電磁波方式の規格で、インターメック社の方式(モード1)とインフィニオン社/ネダップ社の方式(モード2)が検討されている。
ISO/IEC 18000-5は、5.8MHzの電磁波方式の規格で、Q Free社の方式が検討されている。日本では、この帯域を独自のトランシーバ方式でITS(自動料金徴収)に利用している。
ISO/IEC 18000-6は、860MHz〜960MHzの電磁波方式の規格で、インターメック社、フィリップス社、TI社、Bistar社、タグシス社の共同提案をベースに検討されている。
この帯域の使用周波数は地域によって異なり、米国が902MHz〜928MHz、欧州が865MHz〜868MHz、日本は950MHz〜956MHzとなっている。
ISO/IEC 18000-7は、433.92MHzの電磁波方式の規格で、SAVI社の提案をベースに検討されている。この帯域は、アマチュア無線と同じ帯域なので棲み分けが課題となる。
RFIDのアプリケーション要求仕様
ISO/IEC 18001は、アプリケーション仕様の規格で、物流、流通などのサプライチェーンの中で標準化が必要な使用条件やアプリケーション等を規定している。
ISO/IEC 15459は、物流における固有IDの利用方法について、物流単位毎に規定している。
RFID関連機器
ISO/IEC 15762は、RFIDの用語について規定している。
ISO/IEC 15961は、リーダライタとホストのインターフェース規格で、アプリケーション・インターフェースAPIのプロトコルが規定されている。
ISO/IEC 15962は、リーダライタとRFタグとのインターフェース規格で、データエンコーディングルールと論理メモリーのマッピングルールについて規定されている。
RFIDの固有ID
ISO/IEC 15963は、RFタグに使用する64ビットの固有IDについての規格で、クラスID、固有ID発行者登録番号、シリアル番号で構成されている。
固有IDは、チップ履歴、タグ履歴、複数アンテナの制御、複数タグの制御等に利用される。
RFIDの性能と試験方法
ISO/IEC 18046は、アプリケーションに最適な機器を選定するための規格で、性能特性、試験方法、試験環境が規定されている。
ISO/IEC TR 18047は、RFタグとリーダライタの空中インターフェースにおける相互互換性を保証するための規格で、周波数帯域毎に測定方法と測定環境が規定されている。
ISO/IEC TR 24710は、エレメントタグ・ライセンスプレートの機能について規定している。
リアルタイムロケーションシステム (RTLS)
ISO/IEC 24730は、リアルタイムロケーションシステムのアプリケーションプログラム・インターフェースと空中インターフェースが規定されている。