JEMA・NECA 2020年度市場見通し、電気機器 回復基調へ 新型...

JEMA・NECA 2020年度市場見通し、電気機器 回復基調へ 新型コロナで流動的も好予測

日本電機工業会(JEMA)と日本電気制御機器工業会(NECA)は、2020年度の市場見通しを発表した。新型コロナウイルスの影響で流動的な状況だが、19年度を上回る回復基調になると予測している。

日本電機工業会(JEMA)は、2020年度電気機器の見通しをまとめた。20年度の電気機器の国内生産額は5兆3563億円で、19年度比0.5%増の横ばいだが、重電機器に限ると3兆4260億円で2.2%増と回復を見込む。しかし新型コロナウイルスの影響はここでは考慮されておらず、感染の広がりと収束、世界経済への影響によって流動的となると見られている。

 

▼JEMA、重電機器の年度別国内生産額推移(受注形態別)
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19年度の重電分野の実績見込は、前年度比6.8%減の3兆3527億円。国内で20年東京オリンピック・パラリンビック開催を見据えた首都圏再開発による活況が一部残るものの、中国経済の減速や世界的なCO2排出抑制の動きにともなって石炭火力発電機器市場の縮小が継続し、前年度を下回ると見られている。

製品別では、開閉制御装置はほぼ前年並みの1兆4364億円(0.2%減)。閉鎖型配電装置、監視制御装置が前年を上回った。回転電機機械は4.8%減の9000億円。サーボモータが28.6%減と苦戦した。静止電気機械器具は5.5%減の6751億円。変圧器は前年増となったが、電力変換装置がふた桁減となった。発電用原動機は大苦戦。32%減の3413億円だった。

20年度の見通しは、19年度比2.2%増の3兆4260億円を見込む。新型コロナウイルスの影響は不透明だが、米中貿易交渉の第一段階合意により中国を中心とするアジア設備投資は回復に向かうと見ており、前年度を上回る見通し。

製品別では、開閉制御装置はほぼ横ばいの1兆4295億円(0.5%減)。うち低圧開閉器・制御機器は1.8%増の4829億円と回復し、PLCは3%減の1000億円と見込んでいる。回転電機機械は2.3%増の9209億円。サーボモータが10.7%増の907億円に伸長。静止電気機械器具は0.8%減の6697億円。19年度に大きく下げた発電用原動機は18.9%増の4058億円と復活となる見通し。

NECA 20年度出荷見通し、下期にかけ上昇気流

日本電気制御機器工業会(NECA)は、2020年度の自主統計による電気制御機器の年間出荷統計を発表した。20年度の出荷見通しは、前年度比1.7%増の6490億円。新型コロナウイルスの影響は20年度に入って回復、下期にかけて回復が加速すると予想している。

国内見通しは3.0%増の4010億円と好調を予測。上期が1960億円(0.6%増)、下期が2050億円(5.4%増)で、下期にかけて回復を見込む。人手不足対策のためのロボットなどを活用した自動化やIoT投資、5Gの実用化に伴う半導体デバイスや電子部品の設備投資の回復が期待できる。

輸出見通しは、0.3%減の2480億円。上期が1210億円(5.8%減)、下期が1270億円(前期比5.5%増)。自動化投資や5G関連の設備投資が本格化し、米中の貿易摩擦の緩和によりアジア・太平洋エリアを中心とした市場回復が期待できると予測している。

19年度の出荷実績見込みは、9.6%減の6382億円で、2年連続の前年割れを予測。国内は米中貿易摩擦の影響が国内市場にも影響し、工作機、半導体製造装置、自動車関連などの部品、設備投資が低迷。輸出も米中貿易摩擦の影響で中国を含むアジア・太平洋エリアの市場が低迷し、その影響が欧米にも拡大。特に第4四半期の新型コロナウイルスの影響は中国向けを中心に出荷額に大きく影響すると見ている。

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出典:日本電気工業会(JEMA)「2020年度 電気機器の見通し」
出典:日本電気制御機器工業会(NECA)「2020年度 出荷見通し」


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。