Jリーグ下位チームでも10試合中2試合は勝ってる

Jリーグ下位チームでも10試合中2試合は勝ってる

従来よりも市場の不確実性が高まり、何が売れるか予想が困難な時代、焦って

単発のヒット商品を狙うのではなく、安定してヒット商品を生み続ける組織力

の方を磨き上げたい、という話です。

 

1.次世代のヒット商品を考える前にやるべきこと

 

ひと昔前(1990年頃の平成バブル崩壊)までなら、世の中で売れているものを見つけてきて、その類似品を製造販売してもそれなりに事業が成立していました。

 

かっての国内家電業界がそうでした。

薄型TV、DVD、PC……等、売れた商品を後発で市場に送り込むなど、業界で同質的な競争を展開していました。

 

おもいっきり儲かることはなかったけれども赤字になることもなく、数%程度の利益率を維持しながら事業を展開する体質が定着していたように感じます。

そこに、韓国、中国、台湾の新興企業が現れて……、その後の顛末はご存知の通りです。

 

競争力のある商品や製品を開発できないと競合の後追いを許すことになり、最も避けたい価格競争に陥るのが関の山。

そもそも、市場からも選ばれる商品になり得ず、工場内に在庫が眠ることに……。

 

汗かいて製造した商品や製品が売れない状況ほど悲しいことはなく、モノづくり企業ではいつも、先々、何を売るべきか、何を造るべきかに頭を悩ましています。

 

特に事業形態が見込生産が中心で市場と直接に対面しているモノづくり経営者でああるならば、いつも頭から離れないはずです。

 

いきおい、全て自ら考え、一切のことを自ら判断し製品開発している経営者もいらっしゃいます。

 

商品開発や製品開発は最重要課題のひとつであり経営者がリーダーシップを取って進めるべき案件であることは間違いないです。

 

ただし、その取り組みの進め方には注意を要します。

 

経営者自身が先頭に立って取り組むべきですが、もし、情報を公開せず、経営者がひとりで「次は何を主力製品にしようか、将来の事業の柱を何にしようか」と、悩み、考えているならば、今一度立ち止まって、未来志向の工場経営で重視すべきことを考えたいです。

 

将来への漠然とした不安が起因して、とにかくひとつでも多くの新商品や新製品を開発して世に問い、ヒット商品を出したいと焦る気持ちも出てきます。

 

どうしても「何を売るか」「何を造るか」という新たな商品や製品の方へ意識が行ってしまいがちです。

 

そこで改めて技術イノベーションのポイントを考えます。

イノベーションは組織的に起こすものであり、コア技術の継続的な研究開発と知識や情報の共有化の2つがポイントです。

中小現場では組織的にイノベーションを起こす

 

商品や製品の前に、現場の力を生かすこと、磨くことを考えたいです。

現場オペレーションで現場リーダーや各工程のキーパーソンも、経営者とともに現場を引っ張る取り組みであることを思い出したいです。

商品開発や製品開発、それ自体ではなく、商品開発や製品開発を推進して技術イノベーションを達成できる組織力を高めることに意識を向けたいです。

 

そもそも、従来よりも市場の不確実性が高まり、何が売れるか予想が困難な時代ですから、焦ってヒット商品を目指しても、その製品が事業の柱になり得るかどうかは不明です。

下手な鉄砲も数打てば当たるかもしれませんが、それが事業に柱になり得るかどうかは誰もわからない。

それならば、単発のヒット商品を狙うのではなく、安定してヒット商品を生み続けることを可能にする組織力を磨くことに注力したい。

次世代の事業の柱を担うヒット商品は、組織力を磨き上げた結果、生み出される成果であると考えます。

 

遠回りで時間がかかりますが、これが確実性の高い技術イノベーションの方法論と考えています。

着目すべきは、ヒット商品ではなく、モノづくり現場の総合力の方です

 

2.下位チームでも単発勝利は上げられる……。

 

日本のプロサッカーリーグ(Jリーグ)は1993年に開始し、2016年シーズン開始時点で、J1は18のチームで構成されています。

 

これまで(21015年11月23日現在)、J1に所属したことがあるのは30チームです。

そこで、これらのチームの勝率を調べてみました。

 

中には1シーズンでJ2へ降格になったチームもあるようです。

そこで、所属回数が3シーズン以下でJ1での実績が少ないチームは除きます。

 

Jリーグが開幕以来、J1に所属した実績が4シーズン以上あるチームは27でした。

 

上位5チームの勝率は下記です。

1位 鹿島アントラーズ 0.555

2位 横浜フリューゲルス 0.513

3位 ジュビロ磐田 0.506

4位 横浜F・マリノス 0.494

5位 東京ヴェルディ 0.475

 

一方で、下位5チームの勝率は下記です。

23位 大分トリニータ 0.288

24位 ヴァンフォーレ甲府 0.270

25位 アビスパ福岡 0.264

26位 モンテディオ山形 0.221

27位 コンサドーレ札幌 0.216

(出典:ウィキペディアより作成)

 

上位チームは10試合中5試合は勝利しているのに対して、下位チームは10試合中2試合程度。

 

下位に属しているチームも意外と勝利を上げているなぁと感じました。

リーグに所属している力があれば、少ないとは言え、勝利を上げることはできる。

ただし、勝率が下位のチームは大会で優勝するのはかなり困難と思われます。

(23位 大分トリニータが2008年のナビスコカップで優勝していますが、それ以外には見当たらない。)

 

実力が今一歩と評価されるチームでも単発で勝利を上げることはできますが、優勝することは難しい。

 

ですから優勝を狙うチームならば、長期的視野に立ってチームを育て(チームによってはジュニアチームを持っています)、安定して勝ち続けることができことを目指すわけです。

 

単発の勝利があっても、安定して勝ち続ける力がないと優勝は望むべくもなく、J1に残留することも難しくなります。

 

閑話休題

 

市場に参加して、事業を展開していると、確率論的にヒット商品を生み出すことは可能であると考えられます。

どんなチームでも単発の勝利を得ることができるように。

 

しかしながら、市場で生き残ることを目指すのならば、それだけではダメです。

単発のヒット商品が運よく生まれたからと言って、それで持続的な競争優位が確立できたと考えるのは早計です。

安定して勝利を上げるためのチーム力の強化、モノづくり現場の総合力の底上げが絶対に必要です。

単発でヒット商品を生み出している実績に甘んじて、現場の組織力を高める取り組みを怠っていると、現場の頑張りが技術イノベーションにまで昇華しません。

 

  • 目の前の1勝のみにフォーカスされ単発の勝利を挙げるための対応
  • 長期的な視野に立って上位チームの仲間入りを果たすための対応

同じ1勝を挙げるにしても、両者では手段が全く異なります。

 

当然、モノづくり事業を展開する上では両者の戦略とも必要であり、目的と手段を一致させることで現場メンバーの納得感も高まります。

 

後者の方針をベースにしつつ、必要な場面で前者の戦略を繰り出す。

このようなイメージが望ましいと考えています。

そして、前者のみにならないように留意したいです。

技術イノベーションを生み出す現場モノづくりの総合力は、前者の方針のみからでは生まれにくいからです。

 

地味でも磨き続けたいのが人財力であり、組織力。そこからやる気を引き出したい。

組織力を磨いた延長線上にヒット商品が存在すると考えます。

 

やる気を引き出された人財力が技術イノベーションを主導します。

付加価値10年ロードマップ戦略コンサルティングでは持続するやる気に注目します。

 

当然、コア技術の工学的側面に焦点を当て、特にIOTを意識した技術ロードマップの作成は重要です。

そして、それと同じくらい、チームオペレーションを磨き上げることを重視しております。

 

まとめ。

従来よりも市場の不確実性が高まり、何が売れるか予想が困難な時代、焦って単発のヒット商品を狙うのではなく、安定してヒット商品を生み続ける組織力の方を磨き上げたい。

 

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出典:株式会社 工場経営研究所 伊藤哉技術士事務所


製造業専門の工場経営コンサルタント。金属工学の専門家で製造/生産技術、生産管理、IEにも詳しい。エンジニアの視点で課題を設定して結果を出し、工場で儲ける仕組みを定着させることを得意とする。コア技術の見極めに重点を置いている。 大手特殊鋼メーカーで20年近く、一貫して工場勤務。その間、エンジニア、管理者としての腕を磨く。売上高数十億円規模の新規事業の柱となる新技術、新製品開発を主導し成功させる。技術開発の集大成として多数の特許を取得した。 その後、家族の事情で転職し、6年間にわたり複数の中小ものづくり現場の管理者を実地で経験した。 大手企業と中小現場の違いを肌で理解しているのが強み、人財育成の重要性も強調する技術系コンサルタントである。 技術立国日本と地域のために、前向きで活力ある中小製造企業を増やしたいとの一念で、中小製造業専門の指導機関・株式会社工場経営研究所を設立。現在、同社代表取締役社長。1964年生まれ、名古屋大学大学院工学研究科前期課程修了。技術士(金属部門)