IoT時代こそベテランが輝く!経験こそ最上級のデータであり宝である

IoT時代こそベテランが輝く!経験こそ最上級のデータであり宝である

IoTやロボット、ビッグデータが注目を浴びるなか、いま日本の製造業で最も大切にすべき存在は、データサイエンティストでも、ロボット開発者でも、ソフトウェア技術者でもない。

何十年にもわたって製造業を支えてきたベテラン、熟練者たちである。それは技術者に限らない。営業はもちろん、総務経理などバックオフィス側も含めてだ。製造業で何かしらの業務に携わってきたその経験は、貴重な財産であり、これからの製造業の進化の鍵を握っている。

▼データが主役となる時代、スタートダッシュとその後の成功の可否を握るのはデータの種類と量である。いかに幅広く大量のデータを蓄積し、それを分析して新しいものを導き出せるか。それにかかっている。

その意味では、ベテランが何十年と重ねてきた経験や技術はすべて、いまの日本の製造業を作り上げてきたデータである。これらは数値化されておらず、活用するには大変な労力が必要となるが、機器や装置からは得られない、今から集めようとしても集めることはできない。

▼日本は、化学から素材、機械、電子・精密機器、半導体、自動車や輸送機器、食品、医薬品にいたるまで産業の幅が広い。企業の規模も、グローバルに展開する大企業から中小企業までバリエーション豊かに存在する。世界に類を見ないほど多様な現場があり、そこで経験を重ねてきた人材が豊富にいる。日本は世界の製造業の縮図であり、これだけの経験・データを持っている国は他には見当たらない。実は日本は有利な位置にいる。

ベテランの方々へ。あなた方の経験は財産であり、次代に絶対に必要なものだ。ぜひそれを若い人に託して欲しい。若い人々へ。ベテランに敬意を払い、積極的に彼らの知見を吸収して欲しい。いま盛んに言われる技術継承、その本質はベテランの経験というデータを継承することである。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。