IoT実践事例:オムロン草津工場 ビッグデータ活用で生産性30%改善
オムロンは「製造業のための製造業」とも呼ばれるように、各種自動化設備、装置向けのFA機器を製造販売しているが、自社製品のほとんどはファブレスではなく日本を含めた世界5極に生産拠点を構え、製品を製造している。その中でも綾部/草津の両工場は、ものづくり力の発信基地としてグローバル生産の標準化を推進している。特に草津工場を中心に活動している「IoTの取り組み実証実験」についての状況をこのほど公開した。
■超多品種少量生産を実現
草津工場は超多品種少量生産といえる製品群の生産を担当しており、1日あたり500回以上の段取り替えを行っている。そのため工程・設備・生産計画・物流などの各種改善が生産性向上、品質向上に如実に表れる。
足立義博草津工場長によると、実証実験の狙いとして「オートメーションでモノづくりを革新し、世界中の人々を豊かにする」としており、従来の「製品という価値を創出し営業を通じ顧客に届ける」ことに加え、自ら製造した製品が生んだ価値を活用し、実証事例を創出することで、顧客に事例を活用してもらうことを視野に入れているという。具体的には工場を公開し、顧客に紹介することで顧客の工場改革のヒントとして持ち帰ってもらうことから始めるとしている。
実証実験の2014年度のテーマとして「実装ライン見える化による生産改善」が挙げられ、生産ビッグデータを活用した見える化システムを導入し生産性改善を実証。同社製コントローラSysmac NJシリーズとDBを直結し、データ解析からの改善で生産性を30%アップ、改善点の抽出時間を6分の1にした。15年はクラウドを活用した見える化の海外展開を行っており、上海工場では人と機械の作業が混在する組み立てセルラインでの実証を開始している。
また、データ分析の進化(品質革新)としてデータの「量」を増やし分析精度を挙げている。具体的には14年度末に約8.4万件/日だったデータを15年度末には約52万件/日と約6倍に増やし、統計&イベント関連性を基に、不良とプロセスデータの相関・因果の関係を導出する。データは予兆保全にも活用される。
工場の設備に長年携わり、実証実験を行っている草津工場の水野伸二課長は「スモールスタートで、現場が困っていることからICT技術を活用することでこのような取り組みが定着し、成果を出している」と語り、本社と製造現場が一体となってIoT化に取り組む必要性を強調している。
オムロン ユーザー事例:オムロン草津工場 ビッグデータから見える製造現場
元記事:オートメーション新聞 オムロン、ビッグデータ活用で生産性30%改善。草津工場でIoT実証実験