IoTの普及とメディアの責任 地に足のついた議論を促せ 

IoTの普及とメディアの責任 地に足のついた議論を促せ 

10月はじめ、日本のIoT推進ラボとアメリカのインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)、オープンフォグコンソーシアムがIoTの研究開発で連携すると発表された。IoTや第4次産業革命にとっては大きな一歩となる大きなニュースだが、一方で国内ではいまだに第4次産業革命やインダストリー4・0が分かりにくという声が溢れている。

 数年前から多くの情報を出しているが、なぜ伝わらないのかと考えたところ、ひとつの解に行き着いた。それは、ほとんどの情報やニュースが遠い未来の話ばかりで、そこに至るプロセス、いまやるべき事といった喫緊の話ができていない。また各工程や業務レベルまで落とし込んでいるものは滅多にない。だから読者やユーザーが自分の事として捉えにくくなっているのではないかという解だ。

 メディアとして反省点がある。IoTやインダストリー4・0は言葉としてキャッチーで目を引きやすい。そして、未来の夢物語のような話を聞くと心が躍る。だから、そうした情報を増やし、厚くしていった。新しい情報を提供し、未来の姿を指し示す。それ自体は情報機関として必要な役割だ。しかし、そればかりでは偏りがある。もっと地に足についた情報により、ユーザーが具体的な姿を描き、一歩を踏み出すきっかけを作る。届ける情報を制作する者として、それがこの状態を解決する手段になると考える。

 日本とドイツ、アメリカの連携により、ようやくIoTの国際基準化が進みそうである。重大なニュースだが、現場からすれば雲の上の話であり、時間軸で見れば長期スパンの話題だ。だからどうなる、だからどうする。このニュースを聞いて、製造業に携わるあらゆる層、老若男女が何かしらの行動が起きるような環境を整備する。それが製造業を情報で支えるメディアの役割であり、義務である。そう痛感する。

参考:IoT推進ラボ
参考:Industrial Internet Consortium(IIC)
参考:OpenFog Consortium


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。