IEはカイゼンを科学的に進めるためのツール
IEはカイゼンを科学的に進めるためのツールであり試行錯誤を減らして時間を節約するのに効果がある、という話です。
1.科学的なカイゼン
カイゼンでは「人」と「時間」に注目して生産活動を分解し、判断基準を客観化することで科学的なカイゼンを展開することが可能になります。
勘や経験、度胸によらず定量化された判断基準で目標を決めます。
客観的な判断基準はカイゼンが行き詰った時に効果を発揮します。
工場運営や工場経営で意識するべきことは将来に起こりうる問題です。
将来起こりうる問題に対していかに事前に手を打っておくかがキモです。
工場の現場では様々な活動が行われていますが、常に、予想通りのプロセスを経てゴールに至るわけではありません。山あり谷あり、時には壁にぶち当たります。
カイゼンも同様です。壁にぶち当たった時に、取り組みの軌道修正や目標変更、トライアル項目の追加等の対応が求められます。
こうした対応を可能にするのが判断基準です。
判断基準を持つことで、迅速な軌道修正や目標変更が可能になります。勘や経験、度胸でも同様な対応はできますが、試行錯誤は免れません。
経営資源で最も大切なのは時間です。貴重な経営資源の効率性を上げるためにもカイゼンにおける客観的な判断基準設定は絶対に必要です。
そして、客観的な判断基準を設定するために、「人」と「時間」に注目して生産活動を分解します。
科学的な視点を持ったカイゼンを目指すことで、効率よくゴールに至るスキルを習得できます。
2.インダストリアル・エンジニアリング(IE)
カイゼンを推進する時のツールとして活用されるのがインダストリアル・エンジニアリング、IEです。
こうしたツールには○○分析、○○測定、○○研究などがあり、体系化されています。
ですから、これから取り組むカイゼンに適したツールを選択して、その手法を活用すればイイわけです。
そして、個別のツールを活用するにあたっては体系全体を理解し、そのツールが体系のどこに位置づけられているのか知ることで適切な分析が可能となります。
IEの最大の目的は“現状把握”です。「今」を知るためのツールがIEです。
解決方法自体を直接に生み出すわけでないということを、まず、認識します。
ただし、この「今」を知ることがどれだけ、解決方法を考える際に重要な役割を果たすのかにも気付くでしょう。
IEで現状分析すれば、もやもやしていたことが消え、“なんとなく”感じていたことがはっきりと数値で表現されてきます。
すると、現状のイメージが頭の中で明確になってくるので、それまで抱いていた望ましい姿とのギャップが見えてきます。おのずと解決策も浮かんでくるわけです。
2-1.「人」視点のIE
「人」視点のIEを下記に整理します。
原材料に付加価値が加えられる作業とそれ以外の作業に注目したくなります。
付加価値を加える作業がいかに少ないかを実感します。
2-2.「時間」視点のIE
標準作業時間の中に占める正味時間の割合に注目したくなります。
作業の質を工場させるには……と考えます。
(出典:『生産マネジメント入門Ⅰ』藤本隆宏先生 p146参考に作成)
科学的なアプローチは試行錯誤を減らすことを可能にします。時間を無駄にしないためのツールと考えます。
そのツールを使いこなすためは体系を理解しておくことが有効です。
まとめ
IEはカイゼンを科学的に進めるためのツールであり試行錯誤を減らして時間を節約するのに効果がある。