FA流通各社、激変の環境へ対応

FA流通各社、激変の環境へ対応

FA流通を取り巻く環境に警戒感が強まっている。好調な需要が続いてきた半導体製造関連や工作機械を中心に一服感が出ているためだ。米中間の関税問題も絡み、不透明感も増している。

しかし、インフラ投資、東京オリンピック・パラリンピック関連投資、大都市の再開発投資は勢いを増しており、さらには2025年の大阪万博も含め国内景気は好調を維持し、繁忙が継続している。いまは次への成長に向けた充電期間と捉えた取り組みが重要となっている。

エンジニアリング、ロボット導入支援

流通各社業績 18年好調も19年は減速懸念も

2018年のFA業界は、人手不足による自動化熱の高まりにより、機械や装置産業を中心に好調だった。その追い風は流通各社にも好業績となって波及している。

18年12月期決算の商社では、「前期比7.6%増加し、過去最高を更新することができた」(アール電子)、「売り上げは前年度比微増であったが、利益を大幅に増やすことができた」(大洋電機)、「売り上げ利益ともに増収増益を達成することができ、好調な1年だった」(日昭無線)、「売り上げは横ばいであったが、増益を確保できた」(大和無線電機)と、軒並み増収増益基調で終っている。

一方で19年は、世界経済の停滞と米中貿易摩擦、半導体とその製造装置関連の減速感など懸念材料が多く、厳しい見方が多い。

 

「19年3月期の売り上げは現在のところ前期比105.8%で推移。来年度の見通しは国際情勢が混沌としており、不透明感が強いため、今年より厳しいかもしれない」(高木商会)。「今年の市場を取り巻く環境は厳しい1年になると見ており、売り上げ計画も昨年並みと控えめにスタートしている」(日昭無線)、「19年の景気は読みにくい。大阪万博、総合リゾート、防災対策のプラス効果期待」(サンセイテクノス)。

半導体関連はIoTやAI、車載部品、データセンター向けストレージなどが支え、かつてのパソコン・スマホ一辺倒から変わりつつある。そのため厳しさも一時的であるという見方も強い。

「19年度上期は減速感を引きずる可能性もあるが、徐々に半導体製造装置向けも回復し始め、自動車関連向けは陰りが出たとしても堅調に推移すると見ている」(岡本無線電機)、「昨今の米中貿易摩擦問題やスマホ需要の減速などの影響が出始めていることが心配である。今年の景気見通しも厳しくは見ているが、懸念されている半導体製造装置関連の市場も、半導体の需要裾野が広がっていることから大きく減少することがないのでないかと思う」(中央無線電機)、「自動車、IoT中心に半導体・液晶需要は今後も増えることは確実で先に備える」(鳥居電業)。

便利屋・ヘルパーの存在感発揮へ

新商材や技術ソリューションで付加価値強化

産業を取り巻く環境が激変し、流通各社もその変化に合わせて新たな取り組みを開始している。IoTやLPWAのような新商材の取扱い開始から、アッセンブリーやエンジニアリングなど技術を活かしたサービス提案、SIとの協業によるロボット・自動化システムの提案など流通各社のビジネスの幅を広げてきている。ユーザーの課題に対してメーカーやエンジニアリング会社等ではフォローや解決できない部分を流通各社が担い、便利屋やヘルパーとしての存在感が出てきている。

「電子部品の事業は長期案件化傾向があるユニット・基盤・アセンブリなどの電子開発を事業部内横串で対応する体制で、総合的なソリューションを実現し、開発から部品販売へつなげものづくり支援としてニーズ開拓と解決を行っていく」(因幡電機産業)

「工場設備のIoT化を進めようとするお客様に対し、容易かつローコストな商品も多くなってきていることで、人手不足対策や予知保全などの課題解決の提案がしやすくなってきている。さらに、防犯・セキュリティ分野へもIoTを活用した監視システムやデータ収集・分析といった取り組みも今後展開できるのでは」(サンナイオートメーション)

「エンジニアリング強化へ工場を建て替えた」(明治電機工業)、「ケーブルの加工、組立から工事まで一貫して対応できる当社の取り組みが取引先から評価されていることが拡販につながっている」(大洋電機)、「エンジニアリング会社を設立し、エンジニアリングへの取り組みを強化している」(大江電機)

「ソリューション提案活動強化に向けて社員のSE資格取得を進め、PLC、画像処理、モータで揃った。自動化・省力化につながるロボット市場が拡大していることに対応し、システムインテグレータの会社と協業した販売活動にも取り組んでいる」(中央無線電機)「技術開発プロジェクトで、IoTや無線関連に重点に仕入れメーカー、協力会社、SE・FAEなどとタッグを組みながら、試作・設計開発、基板実装、回路設計なども含めて提供」(大和無線電機)

「IoT、AIに対応する5G時代に向けての技術力を強化し、LPWAをはじめとする通信商材、センサを軸として提案活動を展開。ソフトウェア開発まで対応できるトータルサポート体制、機能提案を目指している」(岡本無線電機)、「基板の部品アッセンブリーや検査へ最新のチップマウンターやX線検査装置を使う仕事が増加し、売り上げと利益拡大に貢献している。オンリーワン商品も機種が増えて充実してきた」(日昭無線)。

日系の海外進出、海外ローカルの自動化支援

国内は人手不足や自動化・ロボット化熱によって今のFA需要は旺盛だが、中長期的に見れば縮小傾向が強まる。海外に市場を求める商社も増えている。

「グローバルSCM(サプライチェーン)は、米中間の関税回避から日系企業を中心に、生産を中国から他国に移管する動きが増えている。これに取り組む組織をさらに強化していく」(サンワテクノス)、「中国・上海で2月から、日系の鉄道やロボット関連メーカーを中心にコネクタやケーブルアクセサリーなどの拡販に取り組む」(アール電子)、「タイでは日系企業を中心に品質に優れ信頼性の高い日本製部品の販売が伸びており、きめ細やかなサポートを行っていることもあり、繁忙を極めている」(大洋電機)、「商品供給、現地調達、エンジニアリングサポート中心に積極的に展開」(明治電機工業)。

一方、国内でも商社の物流機能を見直し、アウトソーシングしたり、独自の物流システム構築を目指す動きも顕著だ。運送費用の上昇、営業と納品業務の兼務の是非など、商社の基本機能も部分も絡むことから、手探りの部分も多い。

ECの活用で新規顧客獲得へ

ネット通販の盛り上がりを背景に、流通各社でもEコマース活用が進んでいるが、ECの捉え方には商社によって温度感に差が出始めている。

「扱いメーカーを選択しながら試作・小ロットニーズへの入り口としての活用を期待している」(大和無線電機)、「当社オリジナル商品や仕入れ先メーカーの掲載商品も増えてきて利用が広がっている」(日昭無線)。「従来とは異なる顧客との取り引きにつながっており、さらに活用していく予定だ」(中央無線電機)と、評価する一方で、「インターネットによる電子部品販売サイトは、大きく扱い額が増えているわけではないが、最近はネット販売業者からの注文が目立っている。対面販売とネット販売の両方のメニューを用意することでお客様がメリットを感じる方法での購買につながってくれればよいのではないか」(アール電子)と、冷静な見方もある。

 

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オートメーション新聞「流通各社トップが語る2019」

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・大江電機、中期経営計画実現へ加速
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・アール電子、海外強化へ上海に拠点


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。2016年5月〜「ものづくりニュース by aperza」編集長兼任。 趣味は釣りとダーツ