FA・制御・電子部品商社 業績拡大急ピッチ 変革の時代チャレンジ続々

FA・制御・電子部品商社 業績拡大急ピッチ 変革の時代チャレンジ続々

IoT化への期待が高まる中で、FA・制御・電子部品の流通にも追い風が吹いている。景気回復傾向に加え、労働力不足による自動化や省人化ニーズの高まりとのサイクルが一致したこともあり、急ピッチに業績を拡大している。その一方、押し寄せる製造業の大きな変革の波は産業構造や流通の仕組みにも影響を与え、各社はそうした変化への対応に迫られている。現状は納期対応に追われる中にあって、中・長期に向けた取り組みには違いも見られる。

半導体・FPD、自動車 活発な動き

2017年は機械・装置産業を中心に順調に推移したことで、流通各社の業績にもそのまま跳ね返ってきている。ほとんどの商社が2桁増の売り上げを確保した状況で推移しており、その傾向は月を追うごとに上がっている。

産業機器全般で好調な出荷が続く中で、とくに半導体・FPD、自動車の動きが活発だ。

「18年3月期は前年比7.9%増を見込む。自動車製造、液晶・半導体製造を含むすべての業種・業態が好調に推移」(立花エレテック)、「工場の自動化投資、半導体需要増にともなう半導体・FPD製造装置の伸長、自動車の電子化・EV関連投資の拡大などを背景にエンジン全開」(サンワテクノス)、「18年3月期の売上は前年同期比23.6%増で推移している。半導体・FPD、ロボット、一般産業、鉄道、制御セキュリティ関連向けを中心に伸長」(高木商会)、「半導体・FPD、 スマホ、ロボット、EVなどの動向を見てもわかるように、産業全般が旺盛な需要に支えられ、FA機器の販売が増加している」(鳥居電業)。

しかしいま懸念されているのが、急激な需要拡大で、一部で材料や部品不足が発生していることだ。受発注と納期タイミングの見通しが難しく、過剰在庫を抱えることを懸念する声も。

「材料や部品の納期が長くなっており、装置や設備が作れない状況も生まれるなど過剰気味の部分も見られる。ダブルやトリプルといった注文リスクを避けるためにも、顧客と受注内容を突き詰めながら対応を行っている」(日昭無線)。

国内は20年のオリンピック・パラリンピックを控え、世界経済も比較的堅調に進んでいる。この順調な流れは20年頃まで確実に続くとする見方がほぼ定着しはじめている。

IoT、ロボットなど新商材をチャンスに

製造業を取り巻く環境は激変するなか、流通商社も変化に対応するための取り組みを進めている。

IoTやビッグデータ、ロボットなど新たな技術や製品が工場の自動化や省力化、生産性向上のキモとなるなかで、流通各社も新商材として力を入れている。

「18年は生産現場の課題解決となる協働ロボットを事業の新たな柱とし、新規顧客を開拓していく。サポート体制も、4年後には80人まで増員する」(因幡電機産業)、「IoTの取り組みが進むなか、シームレスに情報をつなぐ上で商社の果たす役割模索に向けてIoT推進プロジェクトを編成し、お客様へのIoT化ソリューション提案を進めている」(高木商会)、「各方面でIoTへの対応が急速に進み、大きなビジネスチャンスが到来している。現在期待して取り組んでいるのが、次世代のグローバルIoTネットワークとして注目されているSigfoxの拡販だ」(岡本無線電機)、「システム案件を扱うSB(ソリューションビジネス)部に45人が所属している。IoTやロボット化などの投資が増える中で、お客様のいまの困りごと解決だけの営業をするのではなく、その会社の将来を考えながら一歩先のソリューションを、当社の考えとお客様の意見を突き合わせながら提案することで、長く取引いただけることを重視している」(ライト電業)。

独自性を出すためのオリジナル商品を開発する動きも。

「シャープ新潟と共同で、性能、品質、コストで競争力の高いファンレスのカスタム電源の開発も進めている」(日昭無線)、「インターフェイス系のオリジナル製品メーカーとして、産業用イーサネット向けをターゲットとしたパッチコードの販売に重点を置いて取り組んでいる。今後も産業用イーサネットのオンリーワン企業を目指す」(大洋電機)。

WebやEコマース 活用広がる

ネット通販の隆盛を受け、流通各社でもWebとEコマース活用で販路拡大を目指すところが出始めている。

「昨年9月からネットショップを開設し、コーセルの電源やノイズフィルタ、古河電池製品などの販売を始めた」(日昭無線)、「02年から開設している電子部品販売サイトはインターネットでの取引が増加するなかで一歩でも先に進めることによって商社の役割を果たす」(アール電子)、「インターネットの普及などもあり流通形態が大きな変革の時代を迎えているのも事実。アペルザが進めているマーケットプレイスへの参加も検討し、色々な形態に参加しておくことで販売機会の創出につながるものと期待している」(サンナイオートメーション)。

一方、対面販売で顧客接点を強化し成功する例も。

「営業社員は注文だけでなく配達や集金までも担当することで顧客との密着感を高めている。それが顧客からなんでも相談いただける信頼感にもつながり、売上拡大の効果も生み出している」(新生電機)、「ネット販売が増えるなかにあって、商社の存在はフェイス・トゥ・フェイスで販売できることで、品質などに対応できるのが強みである」(大和無線電機)、「在庫を置き、店頭で製品を確認しながら買っていただくショールームを兼ねた営業拠点政策を展開している」(中西電機工業)。

海外ローカル企業との取引拡大へ

長期的な国内市場の縮小と日系企業の生産拠点の海外進出にともない、流通各社も海外対応が重要となっている。拠点開設はもちろん、早くから海外展開をしていたところではローカル企業への販路拡大もはじまっている。

「02年に中国・上海に拠点を設置してから、中国に6カ所、インドネシアに1カ所拠点を置いている。企業として成長を続け、社員にも将来への期待を持ってもらうための展開で、取引実績が無くても設置している。守りではなく、攻めの営業が必要」(ライト電業)、「海外展開は4カ国で事業を行っている。お客様の海外シフトにともない、日本と同レベルのサポートを行っていくため、海外に進出している。海外での商品供給、現地調達化対応、エンジニアリングサポートを中心に内外一体となった国際ビジネスを展開していきたい」(明治電機工業)、「海外では現地のローカル企業との取引を拡大することを考え、現地社員をセールスパーソンにしながらそれぞれの地域事情に合わせた現地化を進めていく」(サンワテクノス)。

物流機能の外注化で営業リソースを強化

製品や技術の流通ハブの役割を果たす商社にとって物流は重要な機能だが、膨大な製品在庫の保管と管理が経営の負担となっているのも事実。これを見直し、効率化を進める動きも始まっている。

「物流機能を分離しアウトソーシング化したことで、この1年間は営業に専念した。社内もそうした雰囲気が徐々に浸透し、営業への意欲が高まりつつある」(中央無線電機)、「本社移転にともない、物流部門もOTT物流センターへ移管し、切り離した。物流費用を固定費から変動費に変えることができ、営業は売ることに専念できる効果も生まれている」(大和無線電機)。

景気拡大が続く中で、商社も人手不足のところが増えている。人手不足をネット販売や物流分離での補完を期待する声もあるが、ソリューション営業が強まる中での使い分けも必要になってくる。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。2016年5月〜「ものづくりニュース by aperza」編集長兼任。 趣味は釣りとダーツ