ここまで2回にわたって見てきたものづくりのデジタル化をめぐる状況の中、今後重要になってくるのが③の「低空」領域、すなわちインターフェイス層における世界規模での主導権争いでしょう。 例えば、ドイツ発の「インダストリー4.0...
前回の最後に挙げた三層のうち①「上空」のICT層では、アメリカ主導で下剋上的な技術革命(revolution)が繰り返されています。 設計思想はオープンアーキテクチャ、したがってグローバル業界標準インターフェイスを確立し...
IoT、AI、ディープラーニング、ビッグデータなど、ICTやデジタル化に関する言葉が巷間をにぎわす中、一部では、幾何級数的に進化するデジタルの世界で日本はすっかり後れをとっているとも言われます。 グーグル、アマゾン、アッ...
例えば、組み立て作業の最中に必要な工具がなく、作業者が20メートル先の保管庫にそれを取りに歩いているとします。 その間、作業(設計情報=付加価値の転写)を待っている仕掛品(媒体)が、作業場で漫然と時を過ごしています。ある...
現場が「良い流れ」を作っても、「良い設計」が伴わなければ意味がありません。 「良い設計」を自ら創る、あるいはそれを親企業や本社から引っ張ってこられなければ、良い価格がとれず、現場は報われません。 東大の新宅純二郎教授が、...
中小企業はすべて大企業に搾取される弱体的な存在だから、すべからく国が支援しなければならない、といった伝統的な二重構造論が、中小企業論や中小企業政策に対して、いまだに影響を与えています。 しかし、実際に地域を回ってみれば、...
当初私たちは、この運動を「産官学」の取り組みとして考えていました。 ところが、せっかくインストラクターを育てても、肝心の中小企業主が消極的で、「うちは資金繰りと受注確保で手いっぱいだ。勘弁してくれ」と言って、尻込みする食...
安倍政権による地方創生政策は、まだ準備段階であり、その実質は未知数ですが、経済産業省が進めている「ものづくりカイゼン国民運動」は、すでにその方向性が明確になっています。 「流れ」全体を国が支援するという意味で、未来につな...
今後20年のものづくりを考えるとき、過去数十年の戦後日本の現場の歴史を振り返り、長期の歴史観をもって構想を練る必要があると思います。 終戦直後に冷戦がはじまり、地理的に東西間の壁に隣接するという偶然があった日本は、50年...
いわゆるガラパゴス携帯などを例に、「たしかに日本の技術力は世界一だが、それを事業化する際のビジネスモデル構想力には弱みがある」などと指摘されます。 ガラパゴス携帯は、国の政策や企業経営陣の戦略的な失敗が招いた結果であり、...
半世紀におよんだ冷戦による経済分断の間に蓄積された圧倒的な国際賃金差が、日本の貿易財現場を直撃したのが、1990年代~2000年代のポスト冷戦期です。 しかし、そうした最悪の時代が終わりつつあります。 すでに始まっている...
日本のものづくりが世界でもてはやされたり、あるいはその競争力はすでに失われたなどといった議論がたびたびおこなわれてきました。 そして今もまた、失われたものづくり力といった方向に傾きがちのようです。しかし、そうした議論には...