ams、イメージセンサ部門を強化し日本での設計・開発を始動

ams、イメージセンサ部門を強化し日本での設計・開発を始動

amsは、今後の日本でのCMOSイメージセンサの設計・開発の強化と、同社のセンサソリューションの成長戦略を明らかにした。

イメージセンサソリューション(ISS)部門 シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャのシュテファン・カレル氏は、「日本は、自動車、産業機器、医療機器の市場に世界有数のマーケットを抱えており、amsはこれらの分野に注力している」と語り、日本のデザインセンターにて本格的にイメージセンサの設計・開発を行っていくとした。

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▲今回来日したシュテファン・カレル氏

キーワードは小型化、省エネ化、高性能

統合、精度、感度、低消費電力を必要とするアプリケーション向けの高性能センサソリューションを設計・製造するamsは、センサの中でも、光センサ、イメージングセンサ、環境センサ、オーディオセンサの4つの分野に特化している。

光センサにおいては、世界の3割シェアを担っており、専業メーカーのM&Aにより、各分野においてセンサICやモジュール、アルゴリズム、アプリケーションソフトまでトータルソリューションを提供できる強みを持っている。   

2017年度は記録的な収益となり、13億米ドルで前年比93.5%の伸び率となった。従業員は現在、全世界に1万1000人というグローバルリーディングカンパニーである。

「小型化、省エネ化、高性能をキーワードに、革新的なセンサを供給している」とシュテファン・カレル氏。日本市場で特に力を入れるのがイメージングセンサであり、3DセンサやNIRセンサ、マイクロカメラ、医療用イメージングセンサなどを提供している。

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▲光学、イメージング、環境、オーディオの4つのセンサ分野に特化

高解像度&高速グローバルシャッターCMOSイメージセンサ

同社の新しい製品であるグローバルシャッターCMOSイメージセンサ「CMV50000」は、4800万画素の高解像度、8K動画で毎秒30フレームというスピードで動作。特許取得済みの8トランジスタピクセルアーキテクチャにより、低ノイズで優れた電子シャッター効率を実現したという。

同製品は、「Image Sensor Europe Award 2018」で「Biggest Breakthrough Development」という栄誉ある賞を受賞した。日本では、2019年から応用製品の量産に入る予定だ。

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▲「CMV50000」応用例

カテーテルに入る1mmの極小マイクロカメラ

医療用では、1mm×1mmという極小のマイクロカメラがカテーテル治療にすでに利用されている。日本では19年に量産予定となっており、細い血管用に0.7mm×0.7mmも現在開発中という。さらに、胃カメラではなく、カプセルを4つほど繋げて、体内を通っている間に画像を撮るといったものも構想にある。

また、「ストラクチャードライト」を使用した3Dテクノロジーで顔認証を行うことも可能であり、同社では複数の3D計測技術を開発している。光センサとイメージング技術を組み合わせることにより、さまざまなシステムの提供も可能となる。例えば、光センサとCMOSセンサの技術を融合させてドローンに搭載すれば、農作物の成熟や散布時期なども簡単にわかるようになり、そういった今までにないような製品も開発していけるという。

シュテファン・カレル氏は「現存のアプリやビジネスではなく、新しい技術を持ってその先の今までにない提案をし、マーケットをクリエイトしていく」と戦略を語る。

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▲医療用イメージングセンサの応用例

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▲イメージングと光学技術を融合した使用例

東京のデザインセンター、新たに4名のエンジニア

東京にあるデザインセンターでは、メディカルイメージングを開発担当する8名のほか、17年から現在までマシンビジョン担当として4名のエンジニアが加わった。年内にあと2名加入し、来年も数人採用予定という。

「日本の顧客に近い場所、マシンビジョン、それからメディカル、アカデミックの需要があること、さらに日本での優秀なエンジニアを確保しようという意図があります」と、プリンシパルエンジニアの河村克之氏は、東京での設計・開発を行う目的を語った。

マーケットと仕様が確定次第、すぐに設計・開発が始められる状態という。

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▲プリンシパルエンジニアの河村克之氏


東京都大田区生まれ、横浜育ち。OL向け媒体の編集部を経て、数年前まで投影機のハンドルをクルクル回したりノギスを片手に検査成績表を作成するものづくりの一員でした。製造業は幅広いので記事制作にあたり日々勉強中です! 好きな競走馬はゴールドシップ。