3Sの勧め 〜データの3S できていますか?〜
こんにちは。テクノアの佐々木です。
製造業では当たり前の3S。製造現場や事務所で3Sまたはそれを含む5S活動の標語を掲げ、積極的に取り組まれている会社をよくお見受けします。
仕事に必要なモノだけに絞り、仕事を行いやすくすることで、品質向上に繋がることを実感されている方も多いのではないでしょうか。
さて今日は、その3Sがパソコンの中でもできているかを、皆さんとチェックしていきたいと思います。
私は生産管理ソフトのインストラクターとして、中小製造業様を訪問し、ユーザー様と一緒にパソコン操作を行うことが多くあります。
練習用に作成したファイルをとりあえずデスクトップに保存し…1週間後に再度訪問したらその時のファイルがそのまま、なんていうことがよくあります。これはよくありませんね。1週間経ったらそのファイルが捨ててもいいものなのか、捨ててはいけないものなのかどうかの判別がつかなくなります。
また、もし重要なファイルだった場合も「とりあえず…」と意識せず保存していると、どこに保存したかを思い出すことができなくなります。結果、次回までの宿題事項が終わらず、先に進めずプロジェクトが遅延…と、まさに仕事の品質低下に繋がる危険があります。
改めて、パソコンの3Sとはどういう活動か、一緒に確認し、意識を高めていきましょう。
1.整理
いらないものを捨てることです。実はこれが意外と難しいです。工具や紙の資料なら簡単に捨てられるのに、会社のパソコンの中のファイルとなるとなぜ難しいのか? その理由として以下のようなことが考えられます。
- 物理的に場所をとらないので捨てる必要性を感じない
- 誰が作ったものか、誰が使っているものかがわからず、捨てていいのか判断できない
しかしよく考えてみましょう。どんなに場所をとらなくても不要なものは不要です。100ファイルの中から1ファイルを探すより、10ファイルの中から1ファイルを探す方が格段に効率は良いです。強い意志を持って捨てましょう。そのためにも次のような社内ルールを作っておくとよいでしょう。
- ファイル作成時に残すべきものかどうか判断する
- 作成者をファイル名やデータの中に残す
弊社でも共有フォルダにデータを保存する場合は管理者を決め、誰が見ても管理者が分かるようにしています。
2.整頓
決められた物を決められた場所に置き、いつでも取り出せる状態にしておくことです。ファイルは簡単に作成し、簡単に削除できるため、個人で気軽に作っていろいろな場所に保存しがちです。
改めて意識したいのは、利用しているのは会社のパソコンである、ということです。自分のパソコンも、自分が作ったファイルも他の誰かが利用することを考え、次のようなことを意識して整頓しておきましょう。
- 全社共通のフォルダルールを作成する
- 個人でしか使わないものは「個人フォルダ」を作成し、そこに保存する
- 関連するものはファイル名に統一感を持たせ、並び順にも気を配る
- デスクトップに保存する共有フォルダのショートカットは、共有する階層を揃える
- 共通で使用するソフトはアイコンの位置もなるべく揃える
特に製造現場では1人の方が作業場所を移動し、異なる複数のパソコンを使用する場合があります。パソコンが変わった際にアイコンを探す、という時間のムダを省きましょう。
3.清掃
常に掃除をすることです。パソコンだと、ファイルを常に使いやすい最新の状態に保つこと、整理を定期的に行うことなどが清掃と言えると思います。以下のような社内ルールを検討するとよいでしょう。
- 共通業務は標準化を図り、ひな型ファイルを作成する
- ひな型ファイルは1つでも作業を省けるよう意識し、必要に応じて更新する
- ひな型ファイルは常に最新のものを使用するよう周知徹底する
ひな型ファイルで省く作業はとても小さなことも対象となります。例としてExcelファイル保存時のカーソルの位置があります。意識せず、どこかのセルをクリックした状態でひな型ファイルを保存しておくと、そのファイルをコピーして使用する人は、毎回先頭セルにカーソルを戻してから作業を開始しなくてはなりません。ひな型ファイル作成者が1回先頭セルをクリックしてから保存するだけで、そのファイルを100回使用する場合、100回先頭セルをクリックする無駄を省くことができます。
ご参考までに便利なショートカットキー「Ctrl+Home」をご紹介します。ExcelファイルやWordファイルなどでCtrl+Homeボタンを押すと先頭セルへカーソルが移動してくれますので、保存前の習慣としておくとよいでしょう。
また、弊社では最新のひな型ファイルを使用してもらうために、バックアップフォルダを別に作り、古いひな型フォルダはそこに移動するようにしています。履歴管理上、古いファイルを残しておきたい場合などは、間違ってファイルを選ぶことのないような仕組みづくりも重要です。
その他、以下のようなことも有効です。
- ファイルの削除期限や削除条件を決め、ファイル名やデータの中に残す
- 「一時保存フォルダ」を作成し、そこに保存したファイルは一定期間経過時に削除可否を再確認する
この手法は実際弊社でも取り入れており、ファイル名に記載した削除期限を過ぎたものは管理者が削除をすると事前にルールを決めています。削除期間経過時の確認の手間も省けますし、ファイルを保存する側も必要なデータは削除をされては大変なので、状況が変化したら削除期限を必ず見直す、など期限に対する意識も高まります。
3S活動は課題発見に繋がり、改善活動に結びつきます。改善活動は継続をすることが大切です。この記事を書きながら、私自身のパソコンも見直し、いろいろな課題を発見しました。是非継続していきましょう。