スター性

スター性

先日、面白い取り組みの話を聞いた。

端子盤メーカーのフジコンでは、社員が一人ひとりの秀でた部分、スター性を発掘して見える化し、仕事に活かす価値まで高めていこうという「スタープロジェクト」を今年からスタートした。

第一弾では、会社PR動画を作る際、工場で働く女性社員の歌唱力が音楽プロデューサーから高評価を受けたとのこと。そして今後、他社向けPR動画の楽曲のボーカリストとしても採用したいと言われたそうだ。

彼女も会社も大喜びで、こんなことがあるのかと驚いてしまった。

 

▼スタープロジェクトの意義について大島右京社長は「社員はそれぞれに必ずスター性を持っている。それを見える化して周知すれば、他の社員はその人に敬意を抱くようになる。それを全社に広げてお互いが敬意をもって接するようになれば仕事ではギスギスすることがなくなるだろう。またその社員にとっても自分に対する絶対の自信になり、誇りをもって仕事に向かえるようになる。楽しく笑顔で、気持ちよく働けるということは、必ず製品づくりや顧客へのサービスに現れてくる」と話す。

実際に彼女とその周辺はスムーズに仕事が回り、好影響を与えているという。

 

▼日本の製造業の強みは現場力とよく言われる。多数のベテラン技術者が在籍していること、熟練技術が蓄積されていることを指して言うことが多いが、それだけではない。

S級やA級までいかないが、平均より上の高い技術や知見を持つスタッフが高い定着率で多く在籍していることも大きな強みだ。

製造現場は一人のスーパースターが作り、動かしているわけではない。パートなど多くの人に支えられている。現場をいかに気持ちよくスムーズに動かすか。どんなに自動化やロボット化が進んでもそこは変わらない。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。