トラブル対応はIoTに任せる
貴社の現場は問題を解決することが仕事であると考えていませんか?
1.IoTでギャップを認識した後、どうするべきか
問題の本質となる根本原因を見える化することで、生産活動の質を高められます。
予知保全や超短納期、マスカスタマイゼーション等です。
IoTをはじめとした、情報通信技術を現場へ導入する目的はそこにあります。
生産性を劇的に向上させ、顧客ニーズへタイムリーにきめ細かく対応するのです。
リアルタイムで現場の情報を入手できれば、「今」の状態を把握できます。
「今」を把握できれば、目指すべき状態とのギャップが見えるのです。
このギャップを精度良く、タイムリーに捉えるために、IoTを活用します。
ただし、IoTを活用する前提条件には留意しなければなりません。
特定すべき根本原因や望ましい姿は、現場の技術者、技能者が考える必要があります。
そして、ここで必要なのは、工学的、科学的な知識や見解、実務上の経験です。
IoTを生かすためにモノづくり力を極める必要がある所以です。
そして、IoTでギャップを認識した後、どうするのかが次の課題となります。
2.IoTが目指す「自律性」
IoTでは、ギャップを認識するだけでなく、さらに踏み込んだ効果が期待されています。
「自律性」です。
日本発のベンチャー企業、コネクトフリーのCEO帝都久利寿氏は、次のように語っています。
- IoTを理解するためのキーワードは「自律」
- 究極的な答えはデバイス自身がルールを定義し、自律的に動いてくれるようにすること
さらに、メディアスケッチ代表取締役の伊本貴士氏も次のように語っています。
IoTは、機械や設備、製品といった「もの」をインターネットにつなぐだけではなく、それらに知能を与えることが最終的な目的です。
知能を与えるのは、機械や設備、製品が自ら考えて自律的に動くようにするためです。
「もの」が人工知能(AI)と連携し主体的に動くようになれば、あらゆる制御や生産効率の改善までを自働化でき、生産効率が劇的に向上するだけではなく、マスカスタマイゼーションのような新たなビジネスを築くことが可能です。
(出典:日経ものづくり2016年6月号)
1)問題を認識→2)ギャップを把握→3)問題を解決。
問題解決の流れを「自律的」にやるシステムです。
つまり、問題を認識するところから問題を解決するところまで全てをやってくれます。
従来、問題を解決するのに、人の関与がありました。
例えば設備の稼働状況を示す三色の表示灯などは、「1)問題の認識」のためのシステムです。
このシステムでは、原因分析以降は人がやります。
また、「1)問題を認識~2)ギャップを把握」のシステムは、設備単独で実施されることはありました。
設備設計時に、故障の形態を想定しておきます。
異常停止時に、故障原因もパネルに表示させるシステムです。
このシステムでは、パネルに表示された故障モードを、人が確認して、人が問題を解決します。
このように、従来の問題解決には、都度、必ず人が関わってきました。
IoTではそれを全てシステムで実行させることが可能です。
システムのみで完結させることが期待されます。
生産活動上のトラブルを自動で復帰させ、あるいは未然に防ぐようにするわけです。
人の関与なくして、そうしたことを実現させます。
3.IoTで「問題解決の一連の作業から人間を解放する」
その昔、「生産」は労働集約的でした。
労働者が要した時間の分=出来高でした。
それが産業革命を経て今日に至り、科学技術は力仕事や単純な繰り返し作業、長時間労働から、人間を解放してきました。
自動機、制御技術、ロボットなどが生産現場への導入されることによって、作業者の役割も変わりました。
単純作業から価値に繋がる作業へ移行しています。
今や、作業者も、顧客へ届ける価値の創出に貢献することを期待されているのです。
一方で、新たな問題も出てきました。
設備やシステムが複雑化しつつあります。
その複雑化する設備やシステムに現場が振り回されるようになったのです。
現場ではトラブルのたびに、バタバタと走り回ります。
現状復帰に膨大な工数を取られるようになってきました。
そこにIoTを活用するのです。
問題の解決という「間接的な生産活動」の作業から人間を解放します。
そうすれば、人は価値を生み出す仕事に、一層の時間を割けるのです。
問題は発生してから対応するものだと考えている現場では生まれにくい発想です。
そうした現場では問題解決こそが仕事だと考えています。
今後、人は、創造性を発揮する仕事に時間を割くことが求められます。
ですから、そうしたことを予見して、しっかり対応した現場とそうでない現場の格差は、ますます広がっていきます。
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