他者との違いを明確にして「埋没」を避ける

他者との違いを明確にして「埋没」を避ける

製造業が大きな転換期を迎えるなか、従来の方法に固執することなく、市場環境に応じて自らを変化させていくことの重要性をこれまで何度も訴えてきた。そして、変化と同じく気をつけなければいけないことがある。それが「埋没」だ。

▼デジタル技術の隆盛により、情報を集める、発信することが容易になった。製品の設計開発、営業やマーケティングでも便利になったが、それはライバル会社も同じ。情報流通が円滑になったことにより、他者との違いを出すのが難しく、結局はすべてが「どんぐりの背比べ」となっている。自社の製品・サービスがどんなに優れていると思っていても、選ぶ側から見たら、実は他者とあまり変わらない、違いが分からないことは多々ある。相対的に「埋没」している状態だ。

▼埋没を避けるために最も有効なのは、他者にはない製品やサービスを提供することだが、実際のところ、画期的な独自技術をもっていない限り、それはこのデジタル時代にはなかなか難しい。次にできることといえば、見せ方、外からの見え方を工夫することだ。意識的に、他者より目立つ、何か違うと思わせる。日本企業、特に中小企業が苦手としてきた分野だが、誰もがどこからでも情報を得られる時代、技術を磨くと同時に、それを知らしめるための取り組みが、今後ますます重要になっている。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。