電機組み立て加工業でのQCDの目的と目標の違い
電機組み立て加工業において、商品を流通させ利益を得ている以上、QCD目標を立てるということは大切です。
ただし、企業の経営風土や経営規模、取り扱いを行う販売品目などによって、その目的は異なってくると考えることもできます。
企業としての理想や、企業としての現在の状況をきちんと捉え、目的を明確にしたうえでQCD目標を掲げていくことが求められます。
目標は達成しなければいけないものです。
理想ばかりを追い求め、目的を見失う方向に行ってしまえば、企業の経営戦略からも大きくかけ離れてしまいます。
企業が求めるQCDの目的とは
品質・コスト・納期などを守ることが製造業として重要視されます。
電機組み立て加工の現場においては、それらが一つ欠けても仕事が続かなくなってしまいます。
高品質の製品を消費者の元へ届けること、少しでも価格を下げて提供できること、ニーズに合わせた納品供給ができること、それらができてこそ流通が活発化することは、経済に関する知識が乏しくとも誰もが分かることです。
企業が求めるQCDの目的として、設備や製造工程などを見直し少しでも経費を削減し、利益を上げられるよう企業努力を進めていくことが大きな柱となるでしょう。
現行の製造過程に新規の設備投資をするか、製造過程で省ける部分がないか、仕様を変えてコストを下げることができないか、といった部分を見直すことで、目的を少しでも達成できると考えることが通常の流れです。
もちろん、これが消費者へ供給するために必要な要素としてつながっていくのですが、まずは企業としては利潤の追求という柱を基本とすることが大切なのです。
実際に定めたい目標とは
実際にQCDの目標を定めていくことで、従業員それぞれの使命を定義付けることにもつながります。
品質向上、経費削減、安価な商品を提供すること、ニーズを損なわない商品供給ができることや、スムーズな納品体制を整えること、それぞれの項目において目標を掲げていかなければいけません。
電機組み立て加工に携わるそれぞれのセクションにおいて、消費者へより良い商品を届けるためにはどのようなことを実践していかなければいけないのかを追求していきましょう。
もちろん、自社の利益を追求する方法も同時に考えていかなければいけません。
とても難しいことですが、企業内で情報を共有し、それぞれが決めたことを達成するためにどのようにしたいのかをディスカッションしていきましょう。
企業全体として求めるべきことが見つかることでしょう。
一般的には企業全体の目的や達成目標が提示され、各セクションでそれを達成するための指標を模索していくという流れができ上がっています。
二つのギャップを大きくしないための均衡策
会社全体としては、自社の利益を上げるための目的をQCDに託していますが、加工・製造の現場としては消費者本位の商品をつくることができるかどうかを優先して仕事を遂行し、それを達成するためにQCD目標を掲げています。
企業側と末端に当たる製造担当側の二つにはギャップが生じます。
これらのギャップが大きくなってしまうと企業内のバランスが大きく崩れてしまいますし、士気の低下にもつながります。
また従業員数に対して企業目的を果たすための無理な課題を提起された、消費者本位の商品の供給ができなくなってしまった、ということになっては企業全体の目的を果たせなくなります。
それとは逆に、消費者本位の商品ばかりを提供していては、企業の利益につながらなくなります。
品質が良くとも入手しにくい、高価すぎて購入できないという商品では購買意欲を削いでしまいます。
これらのギャップを大きくしないために、企業内のリスクマネジメントを行うことやマーケティングリサーチを常に行いましょう。
そのようにして、消費者レベルでのニーズを把握し、常に新しい技術を企業内に取り入れる均衡策を探すことも大切です。
下請け企業などとタッグを組むことも視野に
納期を少しでも早くしたい、供給量を増やしたい、品質チェックを万全にしたいというようにQCD目標を達成するためには、企業内の弱点もあぶり出すことが必要になります。
企業理念によって価格が高くとも高品質のものを売る、供給量が少なくとも、とにかく良いものを売りたい、ニーズに関わらず販売し続けなければいけない商品があるというケースも存在していますが、それだけでは企業そのものの存続が危ぶまれてしまいます。
これらを総合的に解決するためには部品加工を他社に委託する方法や、組み立て加工を外注化する方法なども存在します。
中間工程だけを自社で行えば、納期や供給量の点をクリアすることができます。
また品質チェックなどを外注化することで、より厳しい視点で商品の品質を高めることもできると考えられます。
その分、労務費の支出が増えることが懸念されますが、部品代を安価に抑えることができる可能性が高まりますし、さらに良い品物を消費者へ届けることができるようになり、QCDの目的を果たすことにもつながります。
出典:『日本の製造業革新トピックス』株式会社富士通マーケティング