時間研究と稼働分析は標準時間と生産性を求める手法
貴社では、標準時間と生産性を見える化していますか?
1.IEの手法を磨き続けることは意味がある
仕事の評価は、2つの視点からなされるべきです。
“時間”と“価値”です。
仕事の特性に合った視点を選択する必要があります。
価値で評価すべき仕事を時間で評価する。
時間で評価すべきところを異なる視点で評価する。
誤った基準で評価された現場の士気は下がります。
IEは時間(工数)で評価される仕事の改善活動で活用される道具です。
モノを造れば売れる時代は終わりを告げました。
何を造るべきかが問われます。
製品開発や技術開発では、顧客が気が付いていない「コト」を探ることが欠かせません。
現場一丸となって知恵を絞り、工夫を考えて付加価値を創出する時代です。
経営者が一人で悩むことではありません。モノづくりも複雑化、高度化しているからです。
仕事を「価値」で評価する仕組みの構築が求められます。
そうしないと、アイデアが現場から出てきません。自律的に創造性を発揮する仕掛け作りが欠かせないのです。
今後、ますます、従来とは異なる工場経営が求められます。儲かる工場経営は進化します。
ただし、その一方で、「時間」に注目した仕事もないがしろにはできません。
良いものを早く造る技術は付加価値を生みます。
超短納期戦略です。
仕事を「価値」で評価する重要性は確実に高まります。
しかし、一方で、仕事を「時間」で評価する必要性も従来通りです。
その意味で、IEの手法を磨き続けることは意味があります。
2.「時間」視点の改善
「工数」が改善対象のとき、分析方法は、「人」視点と「時間」視点に分けられます。
「人」視点では、まず、鳥の目で生産工程全体をとらえます。
そうして、付加価値作業、要素作業、動作と分解していきます。
一方、「時間」視点の改善対象は2つです。
ひとつは作業の所要時間そのもの。
もうひとつは所要時間に占める正味の作業時間。
「時間」視点の分析では、まず、付加価値作業の所要時間を出します。
全ての付加価値作業分を積み上げれば、その作業の標準時間が算出できます。
そして、所要時間に占める正味の作業時間の割合を増やすのです。生産性を向上させます。
「時間」視点の分析は2つです。
作業の所要時間を分析する手法が時間研究。所要時間に占める正味時間を分析するのが稼働分析。
それぞれ、『生産管理用語辞典』(日本経営工学会)では以下のように説明されています。
時間研究は、
「作業を要素作業又は単位作業に分割し、その分割した作業を遂行するのに要する時間を測定する手法」
稼働分析は、
「作業者又は機械設備の稼働率若しくは稼働内容の時間構成比率を求める手法」
そして、「時間」視点のカイゼンで主に取り上げられる指標は2つです。
標準時間と生産性です。
ですから、「時間」視点のカイゼン手法は具体的な指標を求めるために活用されます。
2-1.時間研究
標準時間は現場作業の標準を構成する重要項目のひとつです。
標準時間の構成は下記です。
標準時間 = 作業時間(正味+余裕) + 段取時間(正味+余裕)
作業時間が○○分、段取時間が○○分と評価します。
作業を定量化することで、取り組みの目標が明確化されるのです。
- 仕事を早くして生産性を上げよ
- ○○分短くせよ
目標を具体的に示された方が、現場は知恵を使いたくなります。
経営者の想いを、数値を通じて、はっきり理解できます。ターゲットが一目瞭然です。
時間研究で作業を定量化すること。そうして、標準時間を明確にすること。
これらは、現場で継続されるべき業務のひとつです。
2-2.稼働分析
生産性の構成は下記です。
この式から、生産性向上には、作業能率を上げること、正味時間増が必要であると分かります。
ですから、作業に占める正味時間を増やすことがカギです。
さて、正味時間とは、原材料に付加価値を加えるのに直接寄与している時間のことです。
生産活動は、顧客へ届けるコト情報の「転写」と「変形」の組み合わせで表現できます。
ですから正味時間とは「転写」と「変形」に関わっている時間と言い換えられます。
人と機械の作業内容を2種類の作業に分類します。
- 正味の作業
- そうでない作業
正味時間が、どの程度作業時間に占めているのか把握するのです。
稼働分析では、現場の作業を、作業時間に着目し、正味の作業とそうでない作業に分類します。
正味時間が、作業全体にどれほど占めているか定量的に把握できれば、やるべきことがはっきりします。
経営者は価値を生み出さない、正味時間でない時間を除きたくなるはずです。
価値を生み出さない、正味時間でない時間を見える化する仕組みをつくりませんか?