投影面積とは | 成形で生計を立てる
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新しい製品を成形する時に、型締力を計算します。
型締力がわからなければ、製品が成形できるかどうかもわかりません。型締力を計算する際に必要な情報が、樹脂の内圧と、成形品の「投影面積」です。
投影面積とは成形品を平衡な光で 照らした場合に出来る影の面積です。言葉ではわかりにくいので、図を見て頂くとイメージがわくと思います。成形品を見る角度で面積は変わりますが、正面から見た広い面積で計算する方が量産的には安全です。
A4サイズのトレーをPPで成形するとします。
自社の成形機は型締力80tと180tの2台の成形機を保有していたとして、はたして、A4のトレーを自社で成形できるでしょうか?
型締力の基礎知識でも書きましたが、計算式はこのようになります。
F=p×A/1000
F:必要型締力(tf・トンフォース)
p:キャビティ内圧力(kgf/cm2・キログラムフォース)
A:投影面積の合計(cm2・平方センチメートル)
A4サイズは21cm × 29.7cm(投影面積の単位はcm2)=623.7cm2
内圧の単位はkgf(最近はMPaを使う事も多い、100kgf/ cm2=9.8MPa)
【参考例】
PP、AS、ABS、HDPE=200~400kgf/cm2
PMMA、PA6、POM、PET、PBT=350~500kgf/cm2
PC=400~700kgf/cm2
この内圧(型内平均樹脂圧力)というのが曲者。樹脂の種類だけでなく、ヒケ重視や高密度成形などの場合にはさらに内圧を高くします。樹脂のカタログには参考となる数値は書いていません。経験と勘で上記数値の範囲ないで自分で判断する事になります。
内圧と投影面積がわかるとあとは計算だけです。結論は80t成形機では無理ですが、180t成形機ではA4サイズは可能ですね。しかし、PPでも高密度な成形(400kgf/cm2)だと不可となります。
慣れてくれば、投影面積を見ただけで「A4=PPだと130t」といちいち計算しなくても把握できるようになります。