2016年、本物だった第4次産業革命と、歩みを始めた日本製造業
第4次産業革命や製造業のデジタル化、いまはそれ無しに製造業は語れない。2014年ころから国内でも話題に上るようになり、15年にロボット革命イニシアティブ協議会、IoT推進コンソーシアム、IVIが設立された。インダストリー4・0や第4次産業革命といったムーブメントが本物で、国や業界として対応していかなければならないと気づき、動き出した。しかしその当時は、製造業全体でもまだ第4次産業革命やインダストリー4・0という言葉を聞いたことがある程度という人がほとんどだった。そこに危機感を感じ、自らの今後に投影して動いたところは限られていた。「センサでデータを取る?見える化?そんなこともう何年も前からやっている」鼻で笑っていた人も少なくなかった。
▼それが16年は大きく変化した。インダストリー4・0のドイツ、インダストリアルインターネットのアメリカ、そして日本が、第4次産業革命でお互いに協力していくことに合意した。現場で使われる産業用ネットワークのPROFINETとCC−Link IEの相互接続の発表もあった。企業レベルでも競争相手だと見られていた企業同士の協業や大規模なM&A案件が相次ぎ、業界を賑わせた。IoTプラットフォームという言葉も多く聞かれるようになり、GEのPredix、マイクロソフトのMicrosoft Azureなどが注目を集めた。日本からも日立製作所のLumada、ファナックのFIELDシステムなどが出てきた。また、AIや人工知能、機械学習といった言葉も、第4次産業革命のなかで語られるようになった。はじめ冷めた目で見ていた中堅・中小企業でも自分のこととして取り組みはじめたという話も多く聞くようになった。
▼16年が間もなく終わる。1月13日に発行した新年号で「第4次産業革命が本格化」と書いた。少々言い過ぎたかもしれないと反省しているが、第4次産業革命、インダストリー4・0、IoTといった言葉が定着し、着実に動き出したと実感している。今年は製造業のめまぐるしい動きを追うことに精一杯で、読者の皆さまに十分な情報をお届けできなかったことを改めてお詫びしたい。17年は、第4次産業革命が加速し、今年以上に激変する年になる。「革命」の意味通り、既存のものが覆ることもあるかもしれない。17年はどんな年になるのか、怖い反面とても楽しみだ。