製造業再起動ブログ (予告編)ローカル企業の再起動で日本の製造業が復活...

製造業再起動ブログ (予告編)ローカル企業の再起動で日本の製造業が復活する

本投稿は予告のご案内です。全10話でお届けするエッセイは、中小製造業の再起動の真髄に迫ります。

バブル崩壊以前の日本は、製造大国として世界に君臨してきました。
日本の強さは、団塊の世代が生み出した豊富な労働力に加え、活発な内需、そして世界の追随を許さない強い企業組織が存在していました。
かつての日本の企業活動が強かった原因に、日本人特有の遺伝子があります。
日本人の深層にある農耕社会の遺伝子は “強力な団結力を持つ企業村 “を作り出しました。
大手メーカを頂点とする子会社、孫会社というピラミッドは、まさに運命共同体であり、下請けの持つ『強い現場力』も大手メーカの国際競争力に大いに貢献しました。
残念ながら、20数年前のバブル崩壊で、日本の強さは既に過去のものとなりましたが、今日の日本の製造業は新しい出口が見えず、依然として混沌とした状態に置かれています。

これから ”全10話のエッセイ”を通し、日本の製造業復活に向けたシナリオを投稿していきます。

日本の製造業は必ず復活します。成功のための”再起動”で必ず復権します。
しかし、日本がバブル崩壊以前の成功に戻ることはありません。
中国・韓国に負けた “日系グローバル企業” が再び世界に君臨することもありません。

復活の鍵は、『中小製造業』にあります。
地方に根を張る”ローカル企業”の世界進出。
そして、ローカルに眠る”現場アナログ力”に”デジタル力”を融合すること。
これが、成功のための”再起動”の鍵です。

中小製造業の再起動なくして、日本の製造業の復活はありません。
その根拠とその具体的方法を全10話でお伝えします。

プロローグ・エッセイ〈第0話〉

大企業、中小企業、零細企業・・この認識を捨てなくてはならない。
かつての大企業を頂点としたピラミッドは二度と戻らない。

大企業と呼ばれ世界市場で戦う日本企業(グローバル企業)の抱える課題は深刻である。

パイオニアが事業撤退し、かつてのオーディオ界を支配した”御三家”が消えた。
ソニーの赤字・無配転落、スマホ撤退が報道されている。
団塊の世代の羨望の的であったオーデイオやCDの王者の凋落である。

日本人であれば、誰でも誇りに思う『名門ソニー』が韓国・中国のメーカーに負けて、無配に転落することなど、誰が予想しただろうか?

ソニーは ”グローバル企業”である。
パナソニックもトヨタも “グローバル企業”である。
世界で戦わなければ存続できない “グローバル企業”である。

ソニーの凋落は、”グローバル企業”にとって他人ごとではない。
円安の為替差益に支えられ好成績を上げている日本企業(グローバル企業)も、大なり小なり”出口の見えない大きな課題”を抱えている。

日本企業(グローバル企業)には共通する「2つの課題」が存在する。

一つ目は、新興国で勝てないこと。言うまでもなく、日本企業は新興国市場でボロ負け。中国・韓国企業に負け、欧州企業にも負けている。シェアの凋落である。

2つ目は、利益が小さいこと。日本企業は、資産効率が悪くROE(株主資本利益率)が低いとの指摘があるが、実際のところ売上高利益率(ROS)が低い事が問題である。要するに、この課題もグローバル市場での負け戦さが原因である。シェアが低くプライスリーダになれない。結果として、利益が取れない。売っても営業利益が出せない体質なのである。
この2つの悪い事実は、残念ながら改善するのは相当に困難である。
最後にくるのは、事業撤退と人員削減である。

中小製造業も深刻である。地元を基地に頑張っている(一所懸命の)中小製造業は、円安恩恵も小さく、大手製造業の海外シフトの波を受け仕事量の減少不安が常に経営課題となり、未来に希望を持てない企業が多い。

しかし、中小製造業は”ローカル企業”であるため、とても明るい未来がある。
それに気が付かないのは、メディア報道や経済学者のコメントが大きく影響している。
彼らの目は常に大企業に向き、中小企業の事は語らない(知らないから語れない)。

”ローカル企業”に優位なことは、無用なグローバル競争が必要ない事である。
日本のローカル企業は本当に恵まれている。歴史も環境も、そして未来も。
この優位性に気が付き、日本企業(グローバル企業)の下請けに甘んじること無く、世界への進出しなければならない。
地元に根を張り、日本を離れず、そして世界に取引先を広げ、自社の技術をベースに、狭い領域でも良いので”世界一”を目指す。

『グローバル・ニッチ・チャンピオン』こそ日本の中小企業の目指す道である。

第1話から第10話まで、『グローバル・ニッチ・チャンピオン』を目指す、
ローカル企業の再起動について投稿する。

出典:アルファTKGホームページ


株式会社アルファTKG社長。1953年長野市生まれ。2014年3月までアマダ専務取締役。電気通信大学時代からアジアを中心に海外を訪問して見聞を広め、77年にアマダ入社後も海外販売本部長や欧米の海外子会社の社長を務めながら、グローバルな観点から日本および世界の製造業を見てきた。 http://a-tkg.com/