製造業の技術や知恵はオープンイノベーションでこそ輝く
「人と言う字は、人と人が支え合っている姿からできている」かつて武田鉄矢扮する金八先生が放った名言だ。実際には「横から見て腕を垂らしている人の姿」が学説では通説とされていて、金八先生の解釈は間違っているが、人は誰かの支えを受けて生き、進化してきたことを印象づけるには良くできた表現である。
ここ数年、「オープンイノベーション」が活発化している。オープンイノベーションとは、大学や研究機関、他の企業が持つ技術やアイデアと、自社の持つそれらと組み合わせ、革新的なビジネスモデルやサービスを生み出す方法のことだ。積極的な“攻め”の動きだが、同時に自社の弱い部分、足りないところを補う効果もある。いまやビジネスも、他社との連携やシェア(共有)、コミュニケーションが武器になる時代である。
日本企業は閉鎖的で、自己完結の傾向が強い。垂直統合型のビジネスモデル、幅広い製品領域に手を広げる総合メーカー、系列という名の囲い込みと上下関係、他社との交流も消極的で、オープンイノベーションとは程遠いビジネスを長い間行ってきた。これが時代を先取りできない、変化の波に乗れなかった一因にもなっている。しかし幸いにも、この数年でオープンなビジネス環境へと舵を切り始めた。1社でできることは限られている。他社と協力し、支え合うことで大きな進化が期待できる。日本の製造業の持つ技術や知恵といった資産は、オープンイノベーションでこそ輝くはずだ。
参考:NEDO、「オープンイノベーション白書」を策定―関連データや国内外の成功事例を集約―