蚕業革命に学ぶ!技術と知恵、経験を活かして新領域に挑戦を

蚕業革命に学ぶ!技術と知恵、経験を活かして新領域に挑戦を

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幕末から明治大正と日本の近代化を支えた生糸業

かつて日本の生糸業は日本の主要産業として経済を支え、安価で高品質というメイドインジャパンのはしりとして世界を席巻した。また、生糸業は日本の産業革命の出発点として、それ以降の製造業を変えた。産業革命は19世紀にイギリスの綿織物業ではじまったが、日本では1872年の富岡製糸場がはじまりと言われている。それまで各家庭で行われていた手作業による生糸づくりから、蒸気機関を使った大規模な工場で作るようになった。ここから産業の仕組みが変わり、社会生活が変わった。日本の歴史、製造業のルーツをたどる上では、生糸業の存在は欠かせない。

新たな領域にチャレンジする蚕業革命

いま生糸業は産業として存亡の危機にあり、かつての存在感を失っている。それでも、最先端の技術を駆使した新たな研究や他分野への応用など挑戦を続けてきた。例えばバイオ技術で完成させた光るシルクや、医薬品原料となる良質なタンパク質を蚕から生産する「昆虫工場」など、従来とは違ったビジネスモデルにチャレンジしている。こうした「蚕業革命」によって、小さな光が差し込み始めている。

長い間で培ってきた技術と知恵、知見は大きな武器に

翻って日本の製造業を見ると、こちらも大きな転換期を迎えている。世界をリードした電子機器、デジタル技術はいまや他国に遅れを取り、力を失いつつある。少子高齢化も産業規模の縮小に拍車をかける。第4次産業革命を、この流れを変えるチャンスとするか、飲み込まれるピンチとするかは私たち次第である。ただ技術は持っている。知恵や知識も蓄積してある。それを活かしてチャレンジすれば必ず光は見つかるはずだ。

参考:NHKサイエンスゼロ “蚕”業革命! カイコがつむぐ新素材
参考:日経バイオテク、水省、2017年度から“蚕業革命”による新産業創出へ


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。