薬品の安全を守る装置と安全意識
薬の安全を守るために、製薬会社は細心の注意を払って製造や梱包を行う必要があります。
輸入薬もしかりで、安全性を確認しなければ出荷できない、というような企業内ポリシーを遵守しています。
製薬会社が持つ安全意識は、一般に働く私たちでも容易に想像できることではあるのですが、実際はどうなのでしょうか。
私たちが笑顔で毎日生活できるよう、体調を整えてくれる薬や、さまざまな薬品を安全に消費者の元へ届けるために、どのような装置を用いて安全を確立させているのかを調べました。
薬品を安全に消費者へ届ける義務
さまざまな新薬が開発されるようになり、人々は不治の病や難病などと呼ばれる疾病に罹患したのちも、命の限りを延ばすことができるようになりました。
もちろん、健常者と変わらぬ生活を送れるようにもなりました。
患者の生活の質を高めるためにも、薬全般の安全性や品質をきちんと守りぬいていかなければなりません。
製薬会社は製造している薬に対して、品質を保つことや安全につくり続けることを、義務として受け止めていることでしょう。
残念ながら、コピー薬や類似粗悪品、国が承認した製法と異なる工程で医薬関連商品を製造しているといったニュースが絶えず、消費者の立場としても不安を抱く要素が大きくなっています。
製薬会社各社は、このような話題を払拭できるよう常に努力を重ね、安全に医薬品を製造する工夫や技術向上に努めています。
私たちも、医師の処方に基づいた医薬品をもらいうけることや、信頼できる薬局・薬店で購入することを優先させるべきでしょう。
製薬会社の安全意識
製薬会社としては、コンプライアンスを掲げ消費者などへ向けて、安全に薬を製造するための約束ごとを発信しています。
そのために必要な臨床試験や研究開発などを随時行っています。
もちろん、医療関係者や取引先、地域などとの連携を行い、偏った関係を築かずに、中立の立場で活動することも柱として掲げています。
社内での安全意識も高く、常に勉強や講習、啓蒙活動を行い、正しい方法で行動できるよう活動しています。
企業としても、安全な商品をつくり上げるために、従業員の人格や個性、多様性を認め尊重することを、コンプライアンスの中に掲げ、働く人の立場を守る働きかけも行っています。
これは、どんな企業でも守られるべき事柄であり、製薬会社だけが特別だとは限りません。
各々の従業員が尊重されることによって、品質も高まりますし、生産性もさらに高まることが分かっています。
第三者による有識者会議を置くことのほか、外資系企業などとの業務提携などを経て常に消費者本位の薬品をつくることを意識しています。
装置の開発も万全の態勢で
薬の品質を守るためには、それらを監視できる装置も大切になります。
放射線測定や異物混入がないこと、パッケージングの工程に不備がないか、決められた数の錠剤が詰め込まれているかなど、人の目による検査も大切ですが、大量生産をする企業が多いため、最終的には機械の目も必要とされています。
ヒューマンエラーを防ぐ目的もありますし、生産性を高めることも求められています。
また、人の目では見抜けないような細かいエラーなども見抜ける能力が機械に求められるようになりました。
そのため、監視装置や検査装置などの開発も進められています。
昨今では機器の性能向上などが最優先で求められており、さらに信頼度を高める工夫がされるようになりました。
万全の態勢で装置の開発や研究が進められていることは、各社のホームページなどの情報から受け取ることが可能です。
また、お薬に対する情報や企業の理念などを的確に伝えるMR(医薬情報担当者)が医療機関や、薬局・薬店に向けて伝える活動も行っています。
QCD意識とのバランスも大切な要素
莫大な費用を投じて薬の安全を守るための装置を開発していても、それが原因で医薬品の単価が高くなってしまうことは避けたいところです。
もちろん、性能重視の装置を導入したために、薬のエラーは100%なくなったけれど、製品化の遅れや納品スケジュールが遅れてしまうということが起これば、生産性を大きく落とす要因となります。
これでは減収減益というような結果を招いてしまいます。
QCD意識を持つことも大切で、費用対効果や装置を導入することでもたらされるメリット・デメリットも考えながら仕事を行う必要があります。
品質やコスト、商品の納期などのバランスもあらかじめ試算しながら、バランスが取れた監視装置などを導入することが大切です。
ただし、企業の経営方針などにも大きく左右される要素で、納期を後回しにしても品質を重視する、低コストの薬を販売する企業努力をしている、独自のルートを開発し、在庫を確保したうえで迅速に配送できるようにするといった、それぞれの考え方も存在しています。
数多くの製薬会社が存在しているので、私たち消費者も企業ごとの考え方を知ったうえで、商品の選択ができるのは良いことだといえるのではないでしょうか。
出典:『日本の製造業革新トピックス』株式会社富士通マーケティング