若手技術者の指導をスムーズにするためには

若手技術者の指導をスムーズにするためには

若手技術者を指導していると、様々な場面で、「何で彼、彼女は私の助言を聴いてくれないんだろう」と思う事はないでしょうか。

 

口では、

「はい、わかりました」

と言っているのですが、心の奥底では、

 

「別にこの人の言う事をきく必要はない」

と思っていることは技術者指導者層の方々が思うよりも多いというのが実情です。

 

もちろん、技術者指導者層の方々が見本となるふるまいをして、

「まず、我が身を持って指導の正しさを証明する」

という姿勢が重要なのは言うまでもありませんが、技術者と言ってもやはり一人の人間。

 

人としての交流無くして指導を聴きいれる素直さを若手技術者たちに持たせることが難しいケースも多々あります。

ではどうしたらいいのでしょうか。

 

その一つに、昔からサラリーマンの鉄則として行われてきた、

「おごる」

という行為があります。

 

大きなものでなくてもいいのです。

一緒に出張に行ったときにコーヒー代を出してあげる、という程度で構わないのです。

2人でたまには飲みに行って、おごるということまでできればベストです。

 

「おごってやっているんだから、少しは素直になれよ」

というふうに言うのはもちろん、心の片隅で考えるようではだめです。

人というのは他人の内心を良く見ています。

 

色々な意味で下心(今回でいうと、おごってあげるから素直になっていう事をきけ、という期待)が見えてしまうと、せっかくの投資も意味がありません。

「いつもお疲れさん。最近どうなの?」

といってコーヒーを飲みながら、またはお酒を飲みながら少し話を聴いてあげればいいのです。

 

そして夕食においては22時までに、

「じゃぁ、お疲れ様!」

といって上司である技術者指導者層の方はその場から去る引きの良さも見せてください。

 

もし若手技術者が自分の言う事をきいてくれない、と悩むことがあるようでしたら、見返りを期待することなく不定期でいいのでこのようなことを少しずつ続けてください。

徐々に上司に対する態度が変わってくるに違いありません。

この取り組みは次の世代に受け継がれていき、社内全体の雰囲気改善にもつながっていきます。

 

無理のない範囲で是非実践してみてください。


◎FRP Consultant 株式会社 代表取締役社長◎福井大学非常勤講師 ◎FRP(繊維強化プラスチック)を用いた製品の技術的課題解決、該関連業界への参入を検討、並びに該業界での事業拡大を検討する企業をサポートする技術コンサルティング企業代表。現在も国内外の研究開発最前線で先導、指示するなど、評論家ではない実践力を重視。複数の海外ジャーナルにFull paperを掲載させた高い専門性に裏付けられた技術サポートには定評がある。