自動認識技術の比較

自動認識技術の比較

自動認識技術とは

バーコードは、流通、物流、製造、サービス、行政、研究、医療、教育等、様々な分野で使用されている。

それは、単なるブームではなく、他の自動認識技術に比べ多くの優れた特長をもっているからである。

一方では、バーコード以外の自動認識技術が多数存在し、未だに新しい方式を研究していることから、バーコードが全ての要求に応えられないという証でもある。

 

データ入力の基本は、キーボードである。

しかし、キーボードは、入力ミスが多く入力速度が遅いという問題があり、もっと高速でかつ正確にデータ入力する方法を研究してきた。

それが自動認識技術(Automatic Identification)の背景になっている。

 

自動認識技術は、データを機械的に入力するセンシング技術であるが、最近では、単に検知するだけではなくメモリーやハードディスクに記録するまでを含め自動データ収集技術 (Automatic Data Capture)とも言われている。

自動認識技術は、バーコードやRFIDのように機械的にコード化したメディアを読み取る方法とバイオメトリックスやマシンビジョンのように人や製品が生まれながらに持つ特徴を読み取る方法がある。

光学式マーク読取(OMR)の特徴

自動認識技術として最初に開発されたものは光学式マーク読取OMRである。

初期は、紙テープやカードにパンチしていたが、最近は、黒く塗り潰したり、丸で囲んだりしたマークを光学的に読み取っている。

紙テープは、携帯性や保存性が悪いことから現在使用されていないが、カードは、鉛筆で簡単に書き込むことができるので、試験の答案用紙やアンケートで使用されている。

 

自動認識技術が高密度、高情報量に進化している中で、OMRは、手書き入力を武器に生き残っている。

OCRは、郵便番号読取のように手書き文字を読み取ることができる。

手書文字読取の読取率は、近年、非常に高くなってきているが、それでも97~98%と言われている。

 

したがって、OCRは、郵便番号入力や文章入力のように文字読取の利便性が非常に高い場合は使用されるが、100%の読取や高速な読取が必要な場合は、バーコードの方が有利である。

光学文字読取(OCR)の特徴

文字データを入力する場合、文字を機械的に読むことができれば理想である。

光学文字読取(OCR)は、それを実現した自動認識技術である。

文字のフォントは数え切れないほどあるので、それらを全て正確に読み取ることはできない。

 

また、「1」と「I」や「0(ゼロ)」と「O(オー)」のように見分け難い文字があることから、OCR-AやOCR-Bのように機械的に認識し易いフォントが開発されている。

このようなOCRフォントを使用しても印刷品質によっては、読取率が大きく低下するばかりでなく、誤読も発生しやすい。

誤読は、チェックキャラクタを使用することによってチェックすることができるが、複数の文字が誤読した場合は、チェックできないこともあるので、OCRは極めて高い印刷品質が要求される。

 

通常の印刷では、OCRの誤読率は、1万文字に1文字と言われており、バーコードの300万文字に1文字と比べると大きな差がある。

バーコードの特徴

OMRは、機械的読取を考慮した認識技術であり、OCRは、機械が人間に近づこうとした認識技術である。

バーコードは、機械的に正確かつ高速で読み取りできるようにしながら、人間も読み取り出来るようにバーコードの上下左右の何れかに目視読取文字を印刷している。

バーコードは、OCRと異なり線の幅の違いだけでコード化しているので、バーをどこでも横切るようにスキャンさえすれば読み取ることができる。

 

バーの高さが10mm以上を推奨しているのは、操作性の観点ばかりではなく、バーのどこかに傷や汚れがあった場合、そこを逃げてスキャンできるようにするためである。

このシンプルな仕組みが、バーコードの高い読取率と信頼性を保証している。文字を二次元的に認識しているOCRと比較するとシンプルなバーコードの特徴を理解しやすい。

バーコードの最大の特徴は、高い読取率と高い信頼性にある。

 

レーザスキャナやCCDスキャナでは、多少印刷品質の劣るバーコードでも100%近い読取が可能である。

また、誤読率は、チェックデジットなしのCode39で300万文字に1文字、チェックでジット付きであれば1億4900万文字に1文字というデータがある。

これほどの優れた誤読率を持っている理由は、汚れや傷によりバーが1本多くまたは少なく読み取れたとしても、そのバーパターンにないバーコードキャラクタが存在しない限り読取不能になるからである。これがセルフチェック機能である。

 

バーコードは、シンプルが故にリーダが安価であり、ペンスキャナ、CCDスキャナ、レーザスキャナ、イメージャ等の様々な方式が用意されている。

また、レーザスキャナやイメージャにより遠隔読取ができることもバーコードのアプリケーションを広げている。

OMR、OCR、バーコードは、いずれも紙をメディアにしているので、メディアの作成が容易でしかも安価である。

 

ソースマーキングでは、印刷するためのコストアップは殆ど無く、また、バーコードプリンタで作成する場合でも、ラベルおよびリボン、トナー、インクの費用のみである。

必要があれば、紙以外に、プラスチック、金属、セラミック等にも印刷することができるので、厳しい環境でも使用することができる。

更に、携帯電話に表示させることもできる。

2次元シンボルの特徴

2次元シンボルは、バーコードが持っている課題を解決するために開発されたシンボルである。

バーコードに比べ10倍から100倍の情報量と情報化密度を持っており、仮名、漢字からバイナリーまでエンコードできる。

また、バーコードの1/10以下のミニチュアシンボルが作成でき、ある程度の汚れや傷があっても誤り訂正機能により確実な読取を保証できる。

 

バイナリーによる大容量情報は、RFIDのようなデータキャリアとしてのアプリケーションや顔写真データを入れたIDカードにも利用できる。

また、ミニチュアシンボルは、宝石や部品、半導体のようなバーコードがマーキングできない製品のマーキングを可能にした。

そして、誤り訂正機能は、物流現場等のような厳しい環境で確実な読み取りを可能にした。

 

また、マトリックス型の2次元シンボルの登場によりイメージャが開発され、視野に入りさえすれば2次元シンボルばかりでなく画像処理できるものは何でも、シンボルの方向に関係なく読み取りできるようになった。

このイメージャは、バーコード、2次元シンボル、OCR、サイン、印鑑、写真等の万能リーダとして今後幅広く利用されていくと思われる。

磁気カードの特徴

磁気カードは、約50文字/インチという高い情報密度を持っている。

この情報密度は、規格で決められたものであり、今の技術では、4倍以上情報化密度することができる。

しかし、磁気カードがIDカードとして利用されていることから、リーダとの互換性を重視して情報化密度は昔と変わらない。磁気カードで情報量が不足する場合は、ICカードが標準化されているので、それを利用することになる。

 

磁気カードは、その記録状態を目視することは出来ない。

また、時には記録場所すら目視できないようにすることもある。

OMR、OCR、バーコードが目視できることを重視してきたことから考えると、磁気カードは、目視できないことが特徴と言える。

 

一方、欠点としては、接触読取に限定され、何度も使用すると磁気ストライプの磨耗が生じることである。

RFIDの特徴

RFIDは、無線を使用してタグやカードにデータを書き込み、または、読み取る技術である。

RFIDは、アンテナ、送受信機、メモリー、バッテリーを持っており、リーダからの問い合わせに応えるような仕組みになっている。

最近のRFIDは、リーダからの電波エネルギを利用して応答しているので、バッテリーを持たないものが多くなってきている。

 

RFIDの最大の特徴は、目視できない場所であっても、電波が届く限り読み取りできることであり、しかも遠隔で読み取りできることである。

RFIDは、電波の周波数帯域と送信出力により数十センチから数メートルの読取距離がある。

また、メモリーの容量により数十バイトから数キロバイトまで記録することができる。

 

サイズは、半導体チップを使用しているので数ミリサイズまで小さくすることができる。

目視できないことはセキュリティにも適しており、電波を使っての読み出しは極めて困難であるので、セキュリティ性は極めて高い。

RFIDは、サイズとデータ容量の特徴から、ユビキタス社会の中で全ての製品に埋め込むIDとして注目されている。

 

しかし、これを実現するためには、価格と環境の問題を解決しなければならない。

ソースマーキングのバーコードの価格は、殆どゼロ円であり、バーコードラベルの価格は、小さければ数円である。

それに比べRFIDは、現在数十円まで下がっているが、これが将来バーコードラベルの価格まで安価になるとは考え難い。

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提供:アイニックス株式会社

 


アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。