海外展示会でブースを出展する意義

海外展示会でブースを出展する意義

所変われば品変わる。昨年11月に中国上海の国際工業展行き、ブースもステージ演出も何もかも巨大で派手な様子を見て、日本とこんなに違うものかと驚いた。先日、訪問したドイツのハノーバーメッセは、日本や中国とも違う雰囲気。ほとんどのブースにカフェを併設した商談スペースがあり、コーヒーやジュース、時にはビールを飲みながらフランクに話し込む姿が目立った。日本と中国、ドイツにおける展示会のスタイルの違いを感じられたのは収穫だった。

▼一方、どこに行っても変わらないもの、共通しているものもある。例えば中国、韓国、台湾企業のブースや特別コーナーだ。上海の展示会では韓国エリアがあり、今回のハノーバーメッセでも中国、韓国、台湾は特別なブースまたはコーナーを設け、それぞれの国の中小企業を出展させていた。この手のブースは日本の展示会でもよく見かける。ほとんどの場合、閑散としており、ハノーバーでもそこは同じだった。しかし、それを揶揄している訳ではない。彼らは世界中のどこに対してもビジネスを広げようという姿勢には感服するしかない。

▼中国には10億人を超える巨大な内需の市場があるが、それだけに留まらず、世界の市場で覇権を狙っている。内需がそれほどでもない韓国、台湾は、昔から海外に販路を求め、その経験が豊富だ。翻って日本は、成熟化と少子化で今後の内需拡大は期待できない。海外市場に活路を見いだすしかなくなっているのは周知の事実だ。2月に行われたCeBITで、日本はパートナー国として日本パビリオンを設け、100社を超える企業が日本から出展した。政府はそれを自画自賛していたが、周辺のライバル国は普段からそれ以上の取り組みを行っている。国や企業は、海外市場を開拓する取り組みを、長い視野で恒常的に取り組んでいかなければならない。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。