汎用旋盤(MS-850)ハーフナット部の修理(2)

汎用旋盤(MS-850)ハーフナット部の修理(2)

前回は、三本の竿の両側をばらしました。

その三本の竿のうち一番下に、起動レバーが付いています。この部分です。

このレバーを上下に動かす事により、主軸が正逆転します。私はレバーを自分の好みの位置にする為、少し手を加えてます。

下の画像のタップに直接レバーが入っていたのですが、キャップをかぶせて位置を自由に変えれるようにしました。

アップです。

反対側は、カラーでエプロンを挟んで止めてます。この部分は、そのまま使ってます。

次に、三軸受けをはずします。

テーパーノックピンを先に抜いてその後四本のキャップボルトを抜きます。

私の機械は、ここのテーパーノックピンの位置が少しですがずれてました。中古で買いましたので、各箇所の磨耗が原因だと思います。

中古でこの機械を買って少し使った頃より気がつきましたのでこの機械は、このテーパーノックピン遊ばしてます。

 

そんなに力掛かりませんので、別に使用上は必要ないのですが、メーカーが、親ねじの真中が下がらないようにと、三軸受けをベットと直角にせずに上を向けた状態に少しこじて組み立ててます。

その時の回転の中心とするためのテーパーノックピンだと思います。

砲金メタルですので、ごく初期はこじたのが効いてますが、すぐに磨耗してしまいますのであまり意味がないと思います。私が使っているあと二台の森精機の旋盤も新品で買った時からこじて取り付けてありましたので、直角に直して使ってます。

 

正直あまり効果はないと思いますし、直角に直した二台の機械は問題なく使用してます。

砲金メタルが片磨耗したらどうなるか想像すれば、直角が正しいと思いますが、メーカーさんは最終ロットの機械まで、こじた取り付けをしていました。

今回修理したのと同型の機械を持ってますが、その機械が最終ロット品です。その後ほんの少しだけ、部品は森精機が支給して、組み立てを平野のある工場に委託して製作していましたが、評判が悪く、すぐにやめてしまいました。

 

私の機械番号より後の機械は要注意です(笑

下が、ばらした部品です。

よく見ると矢の部品のしるしが映ってます。ヤスリの切り欠きです。

三本の竿です。恥ずかしいので部品以外のところは見ないでください(笑

汎用旋盤(MS-850)ハーフナット部の修理(3)へつづく

 

~基本を大切にした技術伝承~汎用旋盤職人養成


1963年大阪生まれ。西尾鉄工所代表。旋盤師、伝統技術継承者◎祖父の代から80年続く大阪八尾市の町工場の三代目。「職人道」を極めた先代のもとで、13才から弟子入りし、昔ながらの職人技を叩き込まれ、家業を一人前にこなした。工業高校卒業後、中堅工作機械メーカーに就職。工作機械(機械部品を産み出す母なる機械。マザーマシンとも呼ばれる)の構造を隈なく学び、23才で独立。最先端コンピュータで制御された「NC旋盤」に対し、職人の「技」と「勘」が頼りの「汎用旋盤」(職人の手で動かす旋盤)をこよなく愛し、現在に至るまで、その加工にこだわり続けてきた。数少ない伝統技術継承者の一人。◎若い世代の人材不足、技術伝承に危機感を持ち、2016年「汎用旋盤職人養成講座」をスタート。教材用に独自開発した「汎用フライス盤」は、設計、加工、組立・調整をすべてひとりでやり遂げ、自身の総合技術力の賜物となった。最近、営業下手な職人の殻を破り、SNSを駆使して「基礎の手技」の重要性を次世代へと訴える。また、異業種の職人を対象に、「いぶし銀の会」を立ち上げ、オリジナル製品の企画、開発など「未来の職人像」を探っている。コンピューター依存が加速する製造業の未来を受け入れつつも、「機械の前に人間ありき」と、代々受け継がれてきた職人の技と精神性の伝承に力を注いでいる。◎2014年「八尾市ものづくり達人懸賞」受賞、2015年日刊工業新聞「マイスターに聞く」掲載、「なにわの名工」受賞◎西尾鉄工所ホームページhttps://nishio-tekkousho.jimdo.com/ 西尾鉄工所技術伝承 https://nishio-tekkousyo.jimdo.com/