機械受注の底は近い

機械受注の底は近い

2019年は製造業各社にとっては厳しい状況が続く。人手不足や自動化に対する関心は高いものの、工作機械や半導体製造装置、産業用ロボット等の市況がなかなか回復してこない。

人に会って景気を尋ねるたび「今年は厳しいね」との回答ばかり。そんなあいさつが定番化してきているのが怖かったりもする。

実際のところ、回復はどのあたりになるのだろうか。

 

いくつかのヒントがある。三井住友DSアセットマネジメントがまとめたマーケットレポート「『工作機械受注』はいまが底か?」では「底は近い」と結論づけている。

いわく、6月の工作機械の受注金額が下限と見られていた1000億円を割り込んだこと、過去の受注調整期間が18カ月程度であったこと、自動化投資や電気自動車等への用途拡大は一過性ではないことなどから、底はそろそろと結論づけている。

また半導体製造装置についても、SEAJ(日本半導体製造装置協会)の予測では19年度はいったん減速するが、20年度には半導体投資が復活し、21年度には本来の成長軌道に戻ると予測している。

もうそろそろ底を打ち、反転してもおかしくない時期に来ている。

 

ビジネスを取り巻く現在の環境は「VUCA」と表現され、予測がつかない時代と言われる。それに乗っかる形で、米中貿易摩擦をはじめ変動要因が多くありすぎて景気回復時期は分からないという意見も述べる人もいる。

しかし経済は過去から連綿と続き、予想もつかないトラブルを何度も経験してきた。それを元に分析すれば、ある程度の精度で未来予測は可能だ。言葉に踊らされて思考停止することが一番良くない。

低迷が長引いたとしても、今年下期から来年前半には戻るだろうという声は以前から多い。何事も底なし沼はあり得ない。もうひと踏ん張りだ。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。