東芝、「樹脂絶縁型SiCパワー半導体モジュール」を開発-電力密度を大幅向上-
この記事の内容をまとめると…
- 樹脂絶縁型SiCパワー半導体モジュールを開発し、電力密度を向上
- 小面積チップの分散配置とAIによる設計最適化により熱抵抗を21%低減
- インバータ適用時には冷却システムサイズが61%低減可能
電力密度の向上を可能にする「樹脂絶縁型SiCパワー半導体モジュール」が開発された。小面積チップの分散配置設計とAIを用いた最適化技術により、熱抵抗を21%低減。インバータ適用時には冷却システムサイズが61%低減可能な試算が得られた。
樹脂絶縁型SiCパワーモジュール詳細
本モジュールは、従来のセラミック絶縁基板に代えて樹脂絶縁基板を用いながらも、高い性能を実現したものである。樹脂絶縁基板は低コスト・高耐熱疲労といった利点を持つ一方で、熱伝導率が低いため熱抵抗が高いという課題があった。
これに対して、モジュールに搭載するチップを従来よりも小面積にし、より多くのチップをモジュール全体に分散的に配置することで、放熱面積を拡大し、熱抵抗を低減した。さらにAIによる設計最適化アルゴリズムを用いて、モジュール設計の複雑なパラメータを最適化することで、熱抵抗のほか、寄生抵抗やスイッチング損失も低減することに成功した。
その結果、従来のセラミック絶縁型モジュールに比べて、熱抵抗を21%、寄生抵抗を21%、スイッチング損失を19%低減。一般的なインバータに適用した際には、冷却システムのサイズを61%削減可能と見積もられた。これにより、電力変換器の小型化が可能となり、設置スペースやコストの削減にも貢献するとしている。