東プレ「デシカント外気処理機」ZEB実現に向け開発
省エネ効果は3割以上も
地球温暖化の進展により工場やオフィスの省エネが強く求められるなか、最近はエネルギー消費量を限りなくゼロに近づけたZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の検証も進んでいる。
ZEB実現には再生可能エネルギーの採用と同時に、省エネの工夫や発想の転換が大事となる。特にオフィスや工場の電気代の半分近くを占める空調関連の改善は重要。
東プレ空調機器部は、空調システムの省エネ対策としてデシカント外気処理機「デシトップ」を開発。その効果が認められ、ZEB実証建屋にも採用されている。
▲デシトップD75
東プレは自動車のプレス車体メーカーとして有名だが、定温物流や冷凍車、冷蔵車分野では国内トップシェアを誇る。特殊空調のトップメーカーとしての一面も持っており、冷熱や換気、送風といった高い空調技術を駆使して開発されたのがデシカント外気処理機「デシトップ」だ。
デシトップは、冷温水や室外機といった熱源がいらない一体型ヒートポンプ式デシカント外気処理機。全熱交換器とヒートポンプ、デシカントローターを内蔵し、3段階で室内の湿度コントロールができる。
機器単体でも湿度制御によって省エネ効果が期待できるが、高顕熱ビル用マルチエアコンと組み合わせることでさらに効果は増大する。通常、エアコンは除湿と冷暖房を1台で行うため、温度を優先すると除湿不足で暑く、湿度を優先すると冷やし過ぎてしまうという弱点があった。それに対し高顕熱エアコンとデシトップを組み合わせることで、エアコンは温度制御主体の省エネ運転が可能となるとともに、デシトップによる快適な湿度環境を作ることができるようになる。
省エネ効果について、室内面積329㎡、換気風量1500CMHのオフィスビルで、全熱交換器とマルチエアコンで年間2万8738kWhかかっていたものが、デシトップと高顕熱マルチエアコンに変えたところ年間2万207kWまで削減し、30%以上の省エネとなる試算結果が出ている。
同社はデシトップの体験ルームを岐阜事業所(加茂郡川辺町下川辺372-7)と、関連会社の東プレ九州(福岡県久留米市田主丸町秋成150)に開設している。