最適な生産の仕組みづくり

最適な生産の仕組みづくり

ITや情報産業、エンタテインメントなどで世界に強い影響力を持つアメリカ。12億人という巨大市場、「世界の工場」と急成長を遂げた技術力を持つ中国。

インダストリー4.0の発祥の地であり、自動車や産業機械の世界的企業とそれを支える中小企業が多数存在し、世界の産業領域のドイツ。

自国の強みが明らかな各国に対し、日本の強みとは何だろう。現場力だという人もいるが、一人あたりの生産性で下位に沈む状態では説得力に欠ける。

 

自動車や家電製品、半導体など、かつて日本の製造業は世界を席巻した。製品だけでなく、それを高品質で量産するための仕組みを構築し、日本の産業機械とそれらを構成する部品、素材メーカーがそれを支えた。

さらに現場レベルでは多くの技術者やパートさんが品質を作り込んだ。あらゆる領域の優れた技術が集まり、それらをすり合わせて優れた工場・生産ラインを生み出し、高い意識を持った人々が運用することで日本の製造業は世界一の座を手に入れた。

これは紛れもない事実であり、日本の強さを探るヒントにはなりそうだ。

 

いま国を挙げて、世界最先端のスマートファクトリーを構築できる「メガインテグレーター」を育成しようとしている。日本国内はもちろん、世界では新たなアイデアを製品に落とし込み、量産したいとする企業は増えているが、それを最適に生産する「ものづくりの仕組み」を作る技術を持っている企業は世界でも稀だ。

日本には優れた産業機械や部品、素材、人材がいまだに健在だ。彼らの技術・製品を使って、最適な生産ライン・工場を作り出す存在こそがメガインテグレーターであり、彼らが世界で活躍すればそれだけ日本製品が広がっていく。

先日その有力候補のひとつと目されるFA関連企業の連合体「Team Cross FA」が生まれた。他にもこれに続く動きが出てきており、日本の製造業に新しい芽が息吹きつつある。「ものづくりの仕組みを作る」日本の製造業の未来に向けた試金石となる。


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。趣味は釣りとダーツ。