日本の製造業の救世主となれ! マインドフルネス③実践編
<第1・2回の要約>
日本の製造業の力を復活させるにはどうすればよいか? そのためには、「すべての可能性は人間の中にある」という前提のもと、才能を最大限に引き出す方法をヒューマンスキルとして理解し、意図的に使えるようになることが重要だ。そのスキルとして、『マインドフルネス活用トレーニング』を紹介する。
トレーニングを実践に活かすための5つのステップを紹介した。今回は、実践例を紹介しつつ、今後のマインドフルネス活用トレーニングの可能性について言及したい。
<マインドフルネス活用トレーニング>
ステップ1. マインドフルな状態作り
ステップ2. 自己洞察A:自己観察・思考パターンの整理
ステップ3. 自己洞察B:自己対話
ステップ4. 自己洞察C:実践
ステップ5. 統合化
(詳細は第2回参照)
実践例
第2回目で紹介した「技術管理者B氏」
直面している一つの開発案件にはまり込み、新しい技術アイデアが生まれず悩みながら仕事をしている
<ステップ1>マインドフルな状態作り
①実践したこと
・朝通勤前に呼吸法を実施(5分〜10分)
・通勤時(往復)に立ってできるヨガ、座ってできるヨガの実施(平日)
・平日午後の疲れた時間に、呼吸法(数分程度)
・会議中、眠くなった時に、眠気を覚ますヨガ実施
・自宅マンション(13階下りのみ)と自社のビル(4階上下)を歩くようにする
・就寝時間を11時にする(実際は週に4日程度できた)
・週末は、軽いランニング(30分程度)
②実践後の成果
トレーニングの一つ一つの効果としてでなく、全体として、変化を感じるようになる
・前より疲れにくくなった
・集中して考えることができる時間が長くなった
・呼吸法をしながら、「落ち着く」感じが前よりもつかめるようになった
・周りのことを気にするときと、あることに集中することのメリハリ感が前より持ててきた感じがする
〜マインドフルな状態が定着してくると、自分を客観視できるようになる。そこで自己洞察のトレーニングのステップを始める〜
<ステップ2>自己洞察A:自己観察、思考パターンの整理
①自分の想い、考え、感覚をラべリング(名前付け)する
名前をつけて傍らに置く(自分の中の思考のホワイトボードのようなものの中に、白い余白が多くなるイメージ)
②ネガティブな思考への対応
自分で前向きではない思考パターンを自覚することができ、前向きでない思考パターンの背景を洞察できるようになる
③ネガティブな思考にラべリング(名前付け)する
「やはり無理だ!理由作り思考パターン」と命名
<ステップ3>自己洞察B:自己対話
①ネガティブな思考パターンの元になっている特有の仕事に対する価値観と向き合う
・専門領域を深めたいので、他の専門外のことは、関わらないで良いと考えていた
・専門外のことをするのは無理と考えていた
②本来、大切にしたい価値観を考える
・好奇心、意欲をもって様々な領域に挑戦したい
・未知の技術ワールドを開拓し、イノベーションを生み出したい
③②で考えた価値観にラべリングする
・意欲を持ってワクワクするのが楽しい価値観
<ステップ4>自己洞察C:実践
①ネガティブな思考パターンで仕事をしてしまう今までの自分に気づく
②仕事の中の重要な場面で、自分が大切にしている価値観を想起する
・未着手の技術分野や新しい開発アプローチへと飛び込む勇気が生まれ、実際に挑戦する (ゲーム感覚でチャレンジしている)
・時にうまくいかない状況や停滞する状況が訪れるものの、その行動は自身の深い願いに裏打ちされているため、粘り強く取り組むことができる
<ステップ5>統合化
ステップ1~4を繰り返すことにより、自分の理想を実際の思考・行動パターンが一致するようになる。
・今まで関わってきた狭い範囲の技術専門領域から抜け出せなかった自分を自覚できたので、一つの場所にとどまっている状況を作らぬように気をつけ始める
上記の実践例は、弊社研修プログラム(2週間:詳細は「実務直結!マインドフルネス入門研修」https://www.edifist.co.jp/mt/course/MTI007参照)の参加を通した学びを現場で実践した実例(複数)をもとに、まとめたものである。
■実践例を通して
ステップ1のマインドフルネス基礎トレーニングを、まず実践し、頭の中にすっきりした状態を作ることが大切である。
その状態を作った後に、ステップ2から4のメニューを進めていくと、より一層明確な自己洞察を行うことができる。
自分が仕事の中で大切にしたい価値観が明確になり、自分の中での言動が整理できるようになり前向きな仕事ができるようになる。
■マインドフルネス活用トレーニングの可能性
2016年にNHKにて、報道された特集「キラーストレス」が多くの反響を呼びそこで「マインドフルネス」は紹介されたものの、我が国の認知度は、未だ、決して高いとは言い難い。
しかし、マインドフルネスの正しい理解とその活用の可能性の扉はすでに開かれている。あとは、それを正しく実践し、着実な効果を実感、享受していくばかりである。
「人間の本質を理解しその人らしさを最大限に生かすためにはどうしたら良いか?」この問いを真剣に考えられている方は、マインドフルネス活用がその有効手段である可能性に気付かれるであろう。
まずは、本記事をお読みのあなたから、その可能性を理解・実感してみませんか? 明確な答えが見つかるまで、とことんお付き合いいたします。
連絡先:https://www.edifist.co.jp/contactus (「お問い合わせ内容」に、“マインドフルネスの記事を読んで”とご記入ください)