新しい技術を開発する若手技術者の必須スキル
円安で製造業の輸出業が好調とはいえ、基本的には日本の製造業は人件費の安い中国や東南アジアに押されてしまっています。
そのような中、必要とされているのが、「新付加価値の技術」です。
ここで問いかけたいことは、新付加価値の技術を生み出すのに必要な若手技術者の必須スキルとは何か、ということです。
高い専門性ですか?
高学歴ですか?
社歴ですか?
現場での成果ですか?
どれもはずれではありません。
しかし決定打ともいえません。
新付加価値の技術を生み出すのに必要なスキル、それは、素材、設計、試験、製造、検査といった一連の仕事をこなせる力だと思います。
まず技術者が陥りがちな思考回路。
「この仕事は私の仕事ではありません」
「これは専門外なのでわかりません(できません)」
という線引き思考のことです。
自分の仕事範囲を自分で狭める様な人は新付加価値を見出すような研究開発をすることはまず無理です。
視野が狭すぎるため製品の全容を見ながら考えるという、製品開発に必須のスキルが無いからです。
かといって、色々な仕事を若いうちに経験させておけばいいのか、というと少し状況がことなります。
大切なことは、「軸足はぶらさない」ということです。
きちんとした主軸を持たせておかないとただの「器用貧乏」になってしまいます。
当然ながら脈絡なく、技術、営業、会計、総務などを経験させるのは違います。
当然技術者ですので技術の中での経験拡大ですが、プログラミング、材料設計、形状設計、解析、品質保証をやみくもにやるのではなく、何か共通の軸を持ったうえで様々な技術職を経験させることをお勧めします。
そしてこの時にできる限り製品の川上(かわかみ)に軸足を置くと上記のスキルを上げやすくなります。
アルミニウムで作る製品を一例に挙げます。
アルミニウムの材料試験などのスキルを積んだ後、その材料を使った形状設計や解析。
またアルミニウムの鍛造や鋳造、機械加工といった製造工程と品質保証。
川上から徐々に川下へと降りていきます。
ただしあくまで軸は川上にあるアルミニウムという素材。
このように川上に軸を置くことでぶれることなく仕事に取り組むことができます。
このようにして一通りを経験した技術者は、非常に広い視野と高い視点で仕事をできるようになります。
自社でのスキルアッププラン検討の一案にご検討いただければと思います。