協業・共創拠点 開設ラッシュ、顧客と課題解決へ
ショールームから共同開発の場へ
第4次産業革命は他社との共創や協業が成功のカギとされる。従来のコンポーネンツの単品売りからシステム販売、ソリューション提案が強化されるのに伴い、お客と一緒に課題を解決していくためのトレーニング施設や開発拠点の開設が全国で相次いでいる。
ソリューション提案も強化
三菱電機は2018年7月に東京・秋葉原にFA機器や産業用ロボットを常設展示し、各種機器やソリューションのトレーニング受講やデモテストなどを体験できる「東日本FAソリューションセンター」をオープンした。
安川電機は18年12月に「安川ソリューションファクトリ」をオープン。サーボモータの生産拠点としてロボットと自動化、AI技術を活用して生産性を高めているが、その実は機械メーカーなど同社のモーターユーザーに対してIoT活用や製品の共同開発の拠点として使って欲しいとしている。
20年には「安川テクノロジーセンタ(仮称)」を開設する予定。基礎研究から量産試作、品質管理までの一貫した研究開発体制による開発スピード向上と、産学官の共同研究などオープンイノベーションの活用を進めるとしている。
三菱電機「東日本FAソリューションセンター」
このほかアズビルは18年6月にIoTやAI等の先端技術による新たなソリューションを顧客と一緒に開発するための新施設を、藤沢テクノセンター内に開設した。オムロンは現在、滋賀県草津市にあるオートメーションセンタの全国展開を検討している。
外資系企業でも開発拠点の強化の動きがあり、ロックウェル・オートメーション ジャパンは、18年10月に本社営業部内にショールーム「カスタマ・エクスペリエンス・センター」をオープン。シュナイダーエレクトリックもスマートファクトリー実装を加速する「検証ラボ」を開設。専門の知識と経験を持つエンジニアが機械のIoT化を支援するマシンソリューションの提案を強化している。
産業用ロボットの場合は、ショールームやテストセンターが必須。デンソーウェーブは19年3月、導入前検査から導入後サポートまでトータルで行うセンターを愛知県刈谷市に開設した。さらに4月には東京でも「東京FAセンター」をオープンした。協働ロボットのユニバーサルロボットも新オフィスにはトレーニングルームと実機検証スペースを備えている。
またロボットシステムインテグレーターが自前でセンターを開設するケースも増えている。ICSサカベは北九州市にロボットセンターを、ロボコム・アンド・エフエイコムは、20年8月をメドに福島県南相馬市の復興工業団地内に自動化生産とロボットパッケージの研究開発施設を建設予定となっている。
こうした動きはFA機器やロボットにとどまらない。半導体大手のインフィニオン テクノロジーズは、18年秋に東京テクニカルセンターを開設。ADASやパワー半導体、モーター制御についてユーザーと一緒に技術開発する拠点を設け、システム提案を強化している。